――働き方改革も、単なる労働時間削減から働きがいやモチベーション向上重視へと変化してきています。御社では、スタート当初から社員の働きがいを重視してこられました。

吉田:単に労働時間を削減するだけでなく、やりがいや充実感といった社員のモチベーションを維持しながら楽しく働いてもらうことを目指してきました。半年に一度、各事業部でキックオフを行うのですが、担当役員としてすべての事業部を回り、「一緒に働きがいのある会社を作っていきましょう」と伝えています。会社にただ貢献するだけではなく、キャリアを自分で作り、自己実現していくといった主体的な働き方をそれぞれが考えるようになってきたと感じます。一人ひとりの好奇心が刺激される、ワクワクできる会社となるように取り組んでいきたいです。

――昨今企業の人材マネジメントも、グローバル化、通年採用、ジョブ型採用への移行など急激に変化しています。御社の採用や育成、リテンション対策についてお聞かせください。

吉田:今回の人事の中期計画のなかでも、リテンションの問題はもちろん、皆がワクワク働くためには何が必要か、今期のスローガンであるエンゲージメントの向上を目指すにはどんな制度が必要かという点を検討しながら施策を考えています。

 具体的には、処遇や評価に関する問題です。毎年、働き方変革に関するアンケートを行っているのですが、そのなかで「処遇や評価の仕組みが分かりづらい」という声がありました。今後ジョブ型の人が増えていくにあたり、処遇の制度をできる限りオープンにしていく必要があると考えています。

 採用については、通年採用化や博士号取得者の積極採用など応募者のバックグラウンドの多様化を通じて、より多様な人材の獲得をめざしていきます。教育面では、自己選択型のキャリア形成強化のため人材育成の仕組みを刷新します。育成プログラムの選択も人事が決めるのではなく、自己選択型、自律的に自分を鍛えていけるような形にしていく予定です。まずは採用と教育面に着手し、中期計画の3年以内に人事制度を見直していこうと思っています。

――人材育成に関して、サクセションプランやタレントマネジメントなどに着手なさっていますか。

吉田:サクセションプランに関しては、これまで課長職以上を対象にしてきましたが、最近はより若い世代も対象とする検討を始めています。弊社は専門職が多いのですが、これまで専門職とマネジメント系のキャリアパスを大きく分けない人事制度をとってきました。しかし、昨今ジョブ型人材やシニアも増えていますので、経営幹部人材(マネジメント系人材)と高度専門職人材(スペシャリスト系人材)に分けて、それぞれにふさわしい評価・処遇制度や育成施策を整備することを検討し始めているところです。

――ダイバーシティマネジメントに関しては、障がい者やLGBTなど多様な人材活用が重要視されています。御社ではどのような施策を取っていますか。

吉田:障がい者雇用については、2008年から視覚に障がいのある人を中心としたリラクゼーションルームを作り、積極的に取り組んできました。また2015年にソーシャルオフィスを設置し、名刺作成や紙文書の電子化など、全社的に発生する業務を一括で請け負っています。ITスキルの高い方もいて、RPAを社内で内製し労働時間管理や健康管理などで手作業が発生していた業務を自動化する活躍を見せています。LGBTの分野に関してはまだ踏み出したばかりで、管理職の理解を深めていく段階です。