――おっしゃるように、ダイバーシティ推進には終わりがないと思います。また今回の新型コロナの影響を受け、企業のあり方や組織の形が変わっていくのではないでしょうか。

及川:弊社では新型コロナを機に「出社を前提としない働き方をしよう」と決めました。通勤に時間がかかる人は、在宅勤務にすればバリューをクリエイトする時間が増えて生産性が上がります。オンライン会議にすれば、子育てなどで時短勤務している人も情報難民にならずに済み、機会が広がります。

 会議そのものも見直しています。連絡・報告・事実確認のような会議はオンラインで行い、ディスカッションやアイデア出しのように顔を合わせた方が内容が濃くなるものはリアルの場を大事にしようと決めました。会議の50%はオンラインでOKという印象です。

 目標設定の在り方、業務の見える化ツール、成果の測り方も見直していきます。テレワークだと「上司の指示が部下に届かない」「部下の仕事が見えづらく評価が難しい」と言われています。確かに上司の的確な指示は大事ですが、これからは自分で考えて上司に提案するような社員を育てたいのです。インプットやディスカッションの機会を与えたり、気づきのフェーズを作ったりするなど、研修の在り方や人材育成方法なども含めて人事と話し合っているところです。

 さらに、アフターコロナを見据えて7月から意思決定の方法を変更します。例えば今までは、会議室に同時に(リアルに)入れるのは最大50人くらいでしたが、オンライン会議なら場所や人数の制限なく参加できるようになります。つまり、これまでは一部の人しか参加できなかった立案のフェーズに、地方の人や現場の方も入れるようになります。このことで、以前より判断や実行スピードが上がりました。今後は地方の権限を拡大し、さらに現場のスピードアップを図ります。社会の変化も激しくなっているので、実行スピードの向上は一つのポイントだと思っています。

――SDGs(持続可能な開発目標)に以前から取り組んでおられます。アフターコロナに向けて、進め方も変わっていきますか。

及川:権限委譲が進むと、SDGsへの取り組みも各自で判断する必要が出てきます。そこで会社としての大きな方向性と方針を明らかにし、これまで以上に社員全員への浸透を図っていく予定です。

 SDGs目標すべてに取り組みますが、特に弊社は「注力すべき9つのゴール」を定め、ダイバーシティの推進、就労の機会の拡大、健康経営、環境問題への取り組みに力を入れ、重点的に活動していく予定です。

SDGsの中でも9つのゴールに注力する(出典:ポーラ「サスティナビリティ方針」)
SDGsの中でも9つのゴールに注力する(出典:ポーラ「サスティナビリティ方針」)
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 これから各部にアクションプランを作ってもらい、ポーラとしてのステートメントを作ってより強く発信していきます。

 また、ダイバーシティ推進では、地方のビジネスパートナーと連携しながら地域ダイバーシティを進めていきたいです。地域でリーダーシップを取る女性の中にはオーナーマネージャーも多いので、五反田本社に留まらず、地域ダイバーシティをしっかり進めていこうと考えています。