働き方の選択肢を増やし、組織のフラット化を進める

――御社は早くから在宅勤務を推奨してきましたが、新型コロナの影響で働き方改革はさらに進みましたか。工夫した点や今後の課題があればお教えください。

三木:コロナ前からコアタイムのないスーパーフレックスや在宅勤務など新しい働き方にチャレンジしているので、外出自粛で在宅勤務になっても戸惑いはありませんでした。コロナ収束までは従業員の安全と健康のためにこの状態を維持していきますが、今後会社にとっても従業員にとっても重要なのは「企業がいかに多くのオプションを提示できるか」です。

 例えば「働く場所は、家でも会社でもサテライトオフィスでもいい」など選択肢が多くて、従業員が自分で選べることが大切です。従業員が最も効率的に能力を発揮でき、企業に対して結果を出せる形であれば、双方にとってメリットがありますからね。

 30年ほど前は「会社に9時に来て夕方5時半まで働かねばならない。休みは週1日」という働き方の一択でした。その頃から比べると選択肢は増えましたが、若い人たちに「この会社で働いてみよう」と思ってもらうには、もっと多くの選択肢が必要かもしれない。会社として、より多様なオプションを提示することにチャレンジしていきます。

――新しい時代に向けた働き方が始まっているなか、組織や人事制度を変える計画はありますか。

三木:働き方改革と同時に人事制度や評価の在り方、労務管理、マネジメント手法の見直しも必要です。新たな環境下での働き方のオプションを提示すると同時に、成果主義だけにするのが良いのか、別の尺度も入れる方が良いのかなど、評価の仕方も変える必要があります。

 日本の企業は組織を重視しますが、個のウェイトが徐々に上がっていくと、組織のフラット化も進みます。部長、課長というヒエラルキーは必要ですが、必ずしも部下を持つ必要はなく「劇団ひとり」ならぬ「部長ひとり」でもいいかもしれない。働き方が多様化するなかで、今までの形にとらわれない、個として成り立つ組織があってもいいと感じます。

 今お話ししたことすべてを検討するタスクフォース的なプロジェクトを社内で立ち上げ、今リモートで議論しているところです。コロナが収束していることを前提に、2021年半ばくらいまでに結論を出したいですね。

 われわれはコロナ以前から働き方の見直しに取り組んできたので、焦りはありません。こういった時期を逆手にとって利用しつつ、じっくり検討して新しいステージに移行したいと思っています。われわれトップマネジメントだけではなく中堅や若い世代にも参画してもらい、多様な意見を吸い上げて新しい形を作り上げていきたいです。

 すべてうまくいくとは限りませんが、試してみてダメならまた変えればいい。「まずはやってみる」ということが大事なのです。なぜなら、誰もが予想だにしなかったことが現実に起きているわけで、われわれが思っている以上に時代はもっとリスキーですから。