デジタル化やグローバル化の波を受けて、新ビジネスを生み出していく企業には新しいスキルや柔軟なマインドを持った専門人材が必要となる。当メディアでは、その例として、デジタル技術を活用したプロジェクトを企画・立案する「ビジネスデザイナー」を取り上げた(記事はこちら)。さらに業種にかかわらず、企業の業務改革そのものを専門とする専門人材を提言する一冊を紹介したい。

『Process Visionary デジタル時代のプロセス変革リーダー』
『Process Visionary デジタル時代のプロセス変革リーダー』
山本政樹、大井 悠 著 / プレジデント社 / 1,760円(税込) / 284ページ / 2019年9月刊

〈社内で業務改革のスペシャリストを育てる〉
 同書は「ビジネスアナリスト」という人材像を提示する。様々な現場の声を聞き、業務を調べ、分析し、複数部門にまたがる、より良い業務プロセスを設計する。必要があればITを使い、新しい業務プロセスを現場に定着させていく。海外での認知は高いが、日本企業でこうした専門人材の重要性を認識し、組織として育て、確保しているところは少ない。専門人材として認知し、継続して社内外の業務改革を担う組織を目指す。

業務をデジタルで省力化し、ヒトをデータで可視化する

 8月、リクルートキャリアが運営する「リクナビDMPフォロー」で、ユーザーの就活生の同意を得ずにサイトの閲覧履歴などから「内定辞退率」を算出、企業に販売していたことが発覚。12月に至って、厚生労働省はサービスの利用企業37社が職業安定法の指針に違反したと判断し、行政指導した。さらに厚労省は経団連などへ要望書を提出。就活サイト運営が一部企業の寡占状態にあると指摘し「学生が(情報の収集に)同意しない選択をするのは現実的に難しい」とし、同意があったとしても学生が不安を抱くような情報の収集は控えるべきだとしている。

 同サービス利用企業の目的は新卒一括採用の業務効率化と精度向上だったというが、データ提供者である就活生の同意がなかったことに加え、就活生にとっての利益・利便性が顧みられなかったのが問題だと筆者は考える。あらためて、グローバルでのDX(デジタルトランスフォーメーション)と「その後」を考える一冊を挙げてみよう。

『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』
『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』
藤井保文、尾原和啓 著 / 日経BP / 2,420円(税込) / 200ページ / 2019年3月刊

〈紀元前/後に匹敵するインパクトを予感させる〉
 DXで変わる社会をデジタル大国・中国の最新事情を元に考察、提言する。例えば、AIで信用スコアを算出する、芝麻信用(ジーマ・クレジット)の普及で人々の「マナーが格段に上がる現象」が起きている。こうした信用スコアが普及しつつあるのは、それが人々の生活を向上させる便利な仕組みだからだ。個人データや買い物の行動導線・購買履歴などすべてがデータ化・オンライン化され、ビジネスはUX(ユーザーエクスペリエンス)そのものを変革・向上するものへ淘汰されていく。ただし、データ提供者/利用者の利益・利便性を明らかにすることと、そのビジネスがいかに社会貢献するかが問われる時代がやってくる。