最後に、多様な人と一緒に「わからなさ」に向き合い、共感し、共創していくワークショップと実践から生まれた一冊を紹介する。カジュアルな装丁のわりに、実はこれまで取り上げてきた書籍の中で最も難しいと思う。ただし、テクノロジーがあらゆるものを制御しつつある世界で「わからなさ」を解きほぐすヒントがちりばめられているだろう。

『情報環世界――身体とAIの間であそぶガイドブック』
『情報環世界――身体とAIの間であそぶガイドブック』
渡邊淳司、伊藤亜紗、ドミニク・チェン、緒方壽人、塚田有那 他 著 / NTT出版 / 1,980円(税込) / 184ページ / 2019年4月刊

〈広大な情報環境の中で答えがない問いに取り組む〉
 ヒトは今テクノロジーで制御されて閉じた情報の「環世界」を生きることを宿命づけられているように思える。このフィルターバブルのような構造的な問題を超えて、「主観のままの情報を共有するためのコミュニケーションのテクニック(方法)を編み出し」「相互に繋げる方法」を考えるための思考のモデルが詰まった一冊。人の思考と思いをつなぐための新たなモデルが生み出せそうな気分になる。