プライベートへの切り替えに効くものは?

 4つ目の研究は、仕事からプライベートへの切り替えについて。「自宅に帰ってからも仕事で旅客にクレームを言われたことや仕事に関する考えごとが頭をよぎる」という声に対応するべく設定された研究テーマだ。

 調査の結果、仕事のミスを思い返すような「フラッシュバック」、あるいは仕事関連の「心配」が勤務時間外も思いをよぎること、さらには仕事上の課題を引きずる「問題解決」の3つが大きな課題として存在しており、これらが仕事の切り替えに大きく影響をしていることが見えてきた。

 特にフラッシュバックは心配を引き起こす要因となっている。業務時間外にも仕事のことを考え過ぎる傾向は、心身の負担にもなり、燃え尽き、あるいは先にも見てきた睡眠への影響、さらには離職・転職を考える意向の増大にもつながりかねない。

 実際、若手グランドスタッフ114人から得られたアンケート調査を分析してみると、仕事からプライベートへの切り替えがうまくいかないことによって、フラッシュバックや心配が生じ、それが転じて、「この仕事は向いていないかも」「やっていけない」「自分はダメだ」という破局的な思考に陥りやすいという傾向が見えてきた。これは3つ目の研究でも話題になった、若手の早期離職にも関連した事項でもある。

 そこでこの研究では、いかにうまく仕事からプライベートに意識を切り替えるかというポイントに着目した。研究を進めた結果、適切な切り替えには、上司によるサポート、具体的には切り替えを促す言葉をかけることが有効であることが分かった。

 研究では言葉の具体的な例として、「あのお客様は誰が対応しても難しかったと思うよ」「〇〇さんなら、きっとすぐ上手に対応できるようになるよ」「(普段から)〇〇さんらしい対応でいいね」といったものを提示している。研究を担当した博士課程2年の内村慶士氏は、「1個のミスが若手の『自分はこの仕事に向いていない』という破局的な考えに発展しないような言葉をかけることが有効だと考えられる」と話す。

研究では上司によるサポート力に着目し、部下の考え方の転換を促す言葉のかけ方の具体例を示した(出所:東京大学大学院下山研究室)
研究では上司によるサポート力に着目し、部下の考え方の転換を促す言葉のかけ方の具体例を示した(出所:東京大学大学院下山研究室)
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