「衣食住」とも言うほどに、住環境の影響は人にとって多大なものがある。在宅ワークの普及に伴う暮らしの変化は、我々ビジネスパーソンにどんな影響を及ぼすのか。人事部門や組織のリーダーは、従業員一人ひとりの在宅ワーク環境に、どんな支援の手を差し伸べうるか。そして一人ひとりのビジネスパーソンは在宅ワークにどう向き合うべきか。旭化成ホームズくらしノベ-ション研究所所長の山田恭司氏、同研究所顧問の松本吉彦氏、同研究所の高村舞氏に話を聞きながら、住空間に対して企業やビジネスパーソンが取るべき施策は何かを探ってみよう。

空間のタイプによって向き・不向きがある

――調査結果からは興味深い傾向が見て取れますが、在宅ワークが「個人作業」と「(人と関わる)会議・電話」に分かれている点は、言われてみれば当たり前ではありますが、住空間と仕事の関係を考えるうえで留意すべきポイントですね。

松本氏(以下、敬称略):在宅ワークの種類は、持ち家そして賃貸それぞれの区分で回答を見ても、上位3つは「PC作業」「電話」「手書き」でした。そのため、在宅ワークをしている従業員は、2タイプの仕事を切り替えながら業務をしていると考えられます。また、新型コロナで各企業が急速に在宅ワークに舵を切るなか、多くの従業員は、LD(リビングダイニング)か寝室において工夫しながら仕事をしている様子が見て取れます。

 調査結果を踏まえて在宅ワークにおける場所選びの要点を整理しました。仕事の内容によって、やはり場所には向き・不向きがあります。

くらしノベーション研究所が調査結果を踏まえて整理した、在宅ワークの場所ごとにおける、メリット、困りごと、解決策。書斎などの仕事専用の部屋がない場合、在宅ワークは机、椅子、ネット回線などが設置しやすいLDまたは寝室で行うと想定でき、その観点から整理してある(出所:旭化成ホームズくらしノベーション研究所)
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 例えば、LDで仕事をする場合を取り上げますと、個人作業では「広い」ことや、「家事並行」つまりちょっとした家事をこなしながら生活全体の効率性の向上が見込めること、また「家族といられる」つまりいわゆる見守りがしやすいというメリットがあります。一方で、「仕事-生活混在」、つまり仕事と生活の区別がつきにくいことや、「家族がうるさい」、つまり仕事中に家族の声が気になるという困りごとにも直面しやすくなるでしょう。

 寝室で仕事をする場合、個室となっているため「集中できる」、また電話やWEB会議をする場合は「静か」であるというメリットが得られます。ですが「ベッドの誘惑」、つまりちょっと横になりたいといった気持ちに駆られたり、WEB会議などでベッドがカメラに映ってしまい生活感を同僚に見せてしまったりといったデメリットもあります。