山田:職住融合は住宅周りを含めて、様々な変化をもたらすでしょう。これはあくまで私見ですが、企業側は在宅ワークのメリットを味わった従業員が自然に起こす行動の実態に、追従せざるを得ないようなマネジメントの変化を起こしていくと見ています。例えば働いている時間を細かく記録しなさいというルールを従業員に敷いた場合、せっかく通勤時間が浮いたのにそのメリットをつぶしてしまうことにもなりかねません。

――SNSなどのネット上の書き込みでは、在宅ワークに切り替えた企業の従業員が「トイレに立つ時にはチャットで上司に報告しなければいけないらしい」といった、冗談のような愚痴が見受けられます。

 在宅ワークでゆとりを得て、それが自分の仕事のパフォーマンスにも好影響をもたらすと実感できた社員は、仮に企業側がガチガチのマネジメントを強いてきた場合、その企業を見限るような動きが出てくるかもしれません。

山田:そもそも、在宅ワークは企業にこれまでにない可能性を広げるものだと思っています。地方に住んでいる人材、子育てをしている母親、高齢者といった方々を在宅ワークによって業務にうまく取り込むことができれば、話題になって久しい人材不足の解消にもつながります。もちろん業務や職種によってできる・できないはあるでしょう。ですが企業がトライすることで多様なメリットが得られるテーマであると認識しています。

――新型コロナウイルスのワクチンや特効薬が開発されるまでの間は、仕事でも生活でも、感染対策が行動の基本として組み込まれていくでしょう。翻って人は家事などベースとなる暮らしを営めてこそ仕事に意識をしっかり向けられるという側面もあります。このWithコロナの時代においては、企業が在宅ワークを推奨し、また従業員の住環境にも関心を向けることで、逆に自社事業の存続、さらには成長の機会もつかむことができるのかもしれません。

左から、旭化成ホームズくらしノベ-ション研究所所長の山田恭司氏、同研究所顧問の松本吉彦氏、同研究所の高村舞氏