ある大手空間デザイン会社が、コークッキングのクリエイティブ・クッキングを研修プログラムの一部として採用した。この企業の担当者のコメントの一部を以下に紹介する。

 「新入社員、中堅、ベテランといった世代の違いだけでなく、営業職や企画職という職種の違いを超えた、一体感のあるワークショップが実現できた」

 「料理を通じて研修プログラムで意図したテーマの本質に迫ることができた。さらにはワークショップ参加者それぞれが持つ仕事に対する意識や価値観、個人的な背景、隠れた想いまでもが透けて見えてきて、参加者の相互理解を促すことに成功した」

 「これは当社にとって、非常に価値のある経験となった。料理は人にとって根源的なもの。だからこそ、企業内においては、組織内のカベや個々人の相違を超越した共通言語となり得ると強く感じた。チームビルディングのツールとしてとても大きな価値があると認識している」

“非日常的な空間”で見えてくるもの

 キッチンという場は、日常生活においてはなんの変哲もない空間だ。だが企業という視点で見ると、非日常的な空間である。こうした非日常的な空間だからこそ、社員の意外な一面を浮かび上がらせるようだ。伊作氏は「研修担当者の感想を聞くと、普段は厳しいことで知られる上司が若い部下に食材の扱い方でたしなめられたり、意外な人が意外な腕前を見せたりする。これが参加者にとって非常に印象深い体験になるようだ」と説明する。

 料理という行為で発見できる「意外な側面」が、社員同士で役職や役割を超えた「一人の人」としての理解を促すという。「これが結果として、日々の仕事を円滑にする」(伊作氏)ことは想像に難くない。

 導出したコンセプトを通じて、社員の間で共通認識も醸成される。伊作氏は「ある企業の研修担当者からは、『このワークショップで導き出したコンセプトの言葉が社員同士の会話で使われるのをよく見聞きするようになった』という感想をいただいた。おそらく、料理という体験を伴ったからこそ定着したのではないでしょうか」(伊作氏)

 近年、企業のオフィスやコワーキングスペースなどに、料理ができるキッチンスペースを設置する動きがある。料理が秘めている価値が、ビジネスの現場でも着目されていることの現れではないだろうか。