例えば、プロジェクトに新たに加わったメンバーが、プロジェクトの基本情報を把握するためにRobotPMOに問いかけ、参照すべき資料の所在を教えてもらう、といったシーンも見られているという。山根氏は「定量的に調査できているわけではないが、社内を見渡していると、プロジェクトの進み方が確実に良くなってきた感触がある」と語る。

 「動作さえ決めれば漏れ・抜けなく確実に動いてくれることも大きい。AIなどを適用してさらに機能を強化すれば、より幅広い業務をサポートし、プロジェクトの進行を助けてくれるようになるだろう」(山根氏)。

取材に対応したアクセンチュアの山根圭輔氏(テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービス グループ日本統括 マネジング・ディレクター)(写真提供:アクセンチュア)

 アクセンチュア日本法人は2015年から、多くの日本企業に先んじて働き方改革(同社では「Project PRIDE」と呼ぶ)に取り組んできた。生産性向上などのワークスタイルにおける課題はもとより、ダイバーシティやリクルーティングの課題も含めて組織風土を改革する、というのがその趣旨である。この組織風土改革をベースに具体的に取り組みを進める中、相反しがちな効率化と価値向上の両方を実現する技術として注目したのがRPAだった。

 RPA展開活動の名称は「Robot for Everyone」。活動コンセプトは2つある。1つは、全社員が“自分の業務のコンサルタント”となり、自身の業務を改善していくこと。もう1つは、先ほども触れたHuman+ Workerの考え方に基づき、RPAを活用した仕事の効率化を実現していくことである。

 まず2019年9月から11月にかけてパイロット導入を実施し、150人の希望者を募ってRPAを適用し、課題抽出に取り組んだ。その結果を踏まえて2020年1月から全社員にライセンスを配り、本格展開を開始した。2年間で全社員数の5%に当たる工数の削減効果を目標としている。

 同社におけるRPA推進のポイントはいくつかあるが、特徴的なのは「RPA-CoE(センター・オブ・エクセレンス)」チームによるサポート体制だ。RPA-CoEは山根氏が管掌するチームで、その名の通りRPAを専門的に扱っており、顧客企業とアクセンチュア社内両方のRPA案件を総合的に支援している。「ノウハウをRPA-CoEに集約してケイパビリティ(組織能力)を高め、より価値の高いサービスを社内外に展開できるようにしている」(山根氏)。

 Robot for Everyoneを進めるに当たって、RPA-CoEでは多層的な支援体制を用意した。まずは教育研修や最新情報の提供といった基本的なサポートを提供。その上で、社内のニーズに沿った複数の支援メニューを設けている。

 例えば「本業が忙しくてRPAの開発が難しい」という社員に対しては「Factory型」の枠組みで対応する。Factory型では現場社員のアイデアを元にロボットの開発を代行する。場合によっては「出張サービス」として現場に赴き、RPAで効率化できそうな業務を発掘し、RPAの開発を含めた業務改革を支援する。