一方、「自分で作りたい」という社員に対しては「Citizen Developer型」で対応。こちらは現場の自主的な開発を支援する枠組みだ。トレーニングを提供するほか、社員が取り組む中で出てきた疑問への回答や、必要な情報を提供する。

アクセンチュア日本法人におけるRPA導入・推進の工夫点(一部)。現場社員のアイデアを元にロボットの開発を代行する「Factory型」、「自分で作りたい」という社員を支援する「Citizen Developer型」で支援している。また社内において注目すべきアイデアをピックアップし表彰する活動も併せて実施している(資料提供:アクセンチュア)
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 人事や経理部門ではすでに数十のロボットが稼働中という。人事部門での適用例の1つが、採用にまつわる業務。採用候補者の面接日程の調整、会議室の予約、候補者へのリマインドなどをサポートしている。

 RPA-CoEを率いるアクセンチュアの郡司陽介氏(テクノロジー コンサルティング本部 ITソリューション アソシエイト・ディレクター)は、「これらはとても大事な業務である一方、煩雑な作業を伴うものでもあった。RPAによる自動化を進めた結果、社員は企画立案など力点を置くべき作業に一層時間を割けるようになった」と成果を説明する。

 コンサルティングの現場でも、レポーティングなどをRPAで自動化することで、「分析や考察など、本来的な業務により集中できるようになった」(郡司氏)という。

取材に対応したアクセンチュアの郡司陽介氏(テクノロジー コンサルティング本部 ITソリューション アソシエイト・ディレクター)(写真提供:アクセンチュア)

 いわゆる「野良ロボット」など、巷で指摘されているRPA運用開始後の課題についても、対策に余念がない。運用ガイドラインの作成など属人化を防ぐ取り組みを進めているほか、ロボットに任せた作業を定期的に人間に戻すことで業務ノウハウが風化することを防ぐ「ロボット避難訓練」も実行しているという。

人に寄り添い、現場の要望をくんで成長するロボット

 システム開発・運用業務の現場では、冒頭にも触れたようにRobotPMOというRPAによるサポートロボットが稼働している。なお、こちらはRPA-CoEとは別のチームが開発を主導している。

 取り組み始めた初期は5個程度の機能から始まったRobotPMOだが、今では70~80に増えた。タスクのリマインドなどの基本的なサポートに加えて、開発者が行ってきた作業の一部自動化、プロジェクトの進捗をチャートに加工し可視化するなど、根幹的な業務も担うようになりつつある。

 多種多様なプロジェクトであっても、定型的な業務はある。そのようなものを特定して自動化し、複数の現場に展開してきた。「各現場の要望を吸い上げて作ったRPAの機能が別の現場で役に立つ、という流れもできつつある。市販されている一部の愛玩ロボットはエンドユーザーの利用情報を集約・学習して育っていく仕組みになっているが、それと同じようなイメージだ」(山根氏)。

 今ではRobotPMOを軸にして社員同士のコミュニケーション、作業の進捗確認、ワークフローが進む格好になっており、プロジェクトの進行を担う「コミュニケーション・ハブ」のような位置づけに育ちつつあるという。またその結果として、RobotPMOを核にプロジェクトのデータが多面的に集約されるようになってきたという。