「このデータをAIに学習させれば、RobotPMOがよりインテリジェントなロボットに育つ可能性がある」。山根氏はこのように将来構想を語る。「そうすれば、まさにルーク・スカイウォーカーをサポートするR2-D2のようなバディにも育ちうるだろう」(同氏)。なお、チャット画面を通じて仕事の勘所をつぶやいたり、休息を促すコメントをしたりする機能も備えているという。

(筆者注:ルーク・スカイウォーカーは映画「スター・ウォーズ」シリーズの主人公。R2-D2はルークをサポートするロボット)

求められる人材の姿が変わる

 RPAのような自動化技術の浸透が進む中、企業の現場ではどのような人材が求められるのだろうか。郡司氏はRPAの推進をサポートしてきた経験を踏まえて、「テクノロジーの活用を前提に、新しい業務の進め方を考案できる人材が必要になる。また実際、そのような人材が求められるようになるだろう」と語る。

 「近い将来、RPAやAIのようなテクノロジーの存在を前提に、業務やビジネスの進め方を刷新する動きが出てくるだろう。この動きを支えるのが、そのような人材だ」(郡司氏)。

 アクセンチュア日本法人がその一例として示すのが、独フォルクスワーゲンと米オートデスクが進める「ジェネレーティブデザイン」の取り組みだ。AIが提示した設計案を人間が確認して選択・改良しながら進めていく方式を採用することで、タイヤホイールの開発期間を短縮。従来であれば設計から製造まで1年半は必要だったが、数カ月で済んだという。 (参考:https://www.autodesk.co.jp/press-releases/2019-08-06

 金融機関で進むAIチャットボットとRPAの活用もその好例だとする。例えば住宅ローンの審査は仕組みが複雑で、従来は利用顧客と担当社員の双方に煩雑な作業を強いていた。そこで人間とのインタフェースに自然言語が使えるAIチャットボットを据え、裏側にRPAを設けて自動化。これにより、漏れやミスを防ぎつつスムーズな業務を実現しようという取り組みが増えつつあるという。

 接客の現場では音声認識AIを活用するケースもある。AIが顧客とスタッフ双方の会話を認識し、質問に関連した情報をリアルタイムでタブレットに表示する。回答に要する時間が短縮できるのはもちろん、スタッフに対応の余裕が生まれることで、接客品質の向上が狙える。

 山根氏は「テクノロジーは人間の成長をサポートする」と添える。「人間とテクノロジーはうまく融合させることができれば、人間の能力をさらに強化することができる。これからの企業は、そのような『Human+の出現』が見込める領域を見極め、投資していくことで、差異化を図ることができるだろう」(山根氏)。

変化に対応するための相棒として使いこなす

 郡司氏は「RPAで自動化された社内の現場では、ロボットが集計したレポートを基により良い方策を検討するといった、創造力が求められる仕事に集中できるようになりつつある」と語る。

 山根氏は「本来、人間がするべき仕事に集中させてくれて、職業人としての成長をサポートしてくれる、そのようなバディロボットがいる会社であれば、そこで働きたいと思う人材が増えるだろう」と見る。つまり、「機能的なバディの存在は、意欲ある社員を惹きつける要素にもなりうる」(山根氏)。

 テクノロジーの急速な進化を脅威に感じて、AIやロボットを「人間の仕事を奪う敵」とみなす向きも少なくない。確かに中長期的には人間の仕事を奪う格好になる領域も出てくるだろう。だが少なくとも今は、「人間としての能力を高める武器」として使いこなす姿勢が、顧客と自社にとって望ましい結果を生みそうだ。