「君は、トラブルに対処するために雇われている」

 一泉氏の研修の中でしばしば語られる「珠玉の言葉」の一つが、「ピンチはチャンス」だ。よく言われるセリフではあるが、一泉氏が口にすると重みがある。「トラブルが発生すると、『またかよ』とか『勘弁してよ』と思う人が多いですが、これでは三流なのです」と一泉氏は指摘する。「私はいつも、皆に言っています。『トラブルがなく順調に進んでいるなら、君のような優秀な人材はいらない。君は、トラブルが起きることを前提に雇われているんだよ』と。そして『このトラブルをうまく処理すれば、君の評価が上がるじゃないか』とね」。「ピンチをチャンスに」は、一流の社員になるための心構えとして、冊子「日本ゼネラルフードの心(NGF WAY)」(2017年10月発行)でも大きく取り上げられている。

 ある社員がこう口にする。「副社長は常に全力投球で、情熱の固まり。社員一人ひとりに担当している仕事の価値を納得させ、モチベーションを向上させることで、すべての社員を幸せにしたい、と本気で思っているのです」

 10年間継続する2つの研修を通じて一泉氏が伝えたいのは、「組織の中で皆が幸せになるための法則」だ。「このことを若い頃の自分に誰かが教えてくれていたら、私ももっと早くまともなビジネスパーソンになれていたかもしれない。だからこそ、この経験とノウハウをできるだけ多くの社員に伝えたいのです」と一泉氏は強調する。

 社内研修を精力的に進めるほか、一泉氏は現在ビジネスパーソンに向けた書籍も執筆している。『組織の中で幸せに生きる君たちへ』(仮、日経BP社より2019年3月発行予定)だ。組織人としてどう考え、どう動くべきか。そのヒントを、日本ゼネラルフードの社員のみならず多くのビジネスパーソンにも伝授するのが目的だ。

 「人を育てることは最も難しい仕事ですが、最も大切な仕事なのです。仮に思うように育たなくても、がっかりしないこと。相手に成長という成果を求めずに教育し続けるためには、無限のエネルギーと愛情を持つことが大切です」(一泉氏)。その情熱が、日本ゼネラルフード社内に脈々と受け継がれている。