2020年10月にジョブ型人事制度に刷新した三菱ケミカル。2017年、3社(三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨン)の統合により、伝統的素材産業でもいち早く職務等級制を採用したが、その後検討を重ねて今回の新人事制度導入に至った。管理職5000人、一般社員1万2000人に適用し、社内公募制度により社員のキャリア自律向上と人材活性化を狙う。人事制度改革を主導する、同社取締役常務執行役員の中田るみ子氏に施策の骨子を聞いた。

──3社統合の際に職務に基づく処遇体系を導入し、その後の再検討を経て2020年10月にジョブ型の人事制度刷新に至りました。経緯を教えてください。

中田るみ子氏(以下、中田):2017年に職務等級制度を導入しましたが、配置や登用の際に年次年功の考え方が完全に払拭できなかった課題がありました。また、施策が現場で徹底されていないという事例も出てきました。

 例えば転勤について社員本人の事情を配慮して行おうと考えていましたが、趣旨が社員にうまく伝わっておらず、転勤を理由に退職するケースもありました。施策を明文化せずに運用していたことも理由の一つです。そこで、上司と部下のキャリアデザイン面談などのコミュニケーションを充実させることを考えました。

 三菱ケミカルはグループ全体で「KAITEKI健康経営」を掲げています。「KAITEKI」とは、「人、社会、そして地球の心地よさがずっと続いていくこと」を表します。そこで2019年6月、このコンセプトに基づき、多様な人材が生き生きと働ける環境づくりのための施策を、「三菱ケミカルは決めました」という「30の宣言」の形にして発信しました。宣言では「休日の作業を前提とした業務指示の禁止」「製造現場のトイレ環境の改善」など、具体的な30の項目を盛り込んでいます。

 これらの施策を社員にも広く伝えるために、各現場に赴き社員とのやり取りをビデオ撮影して配信するなど、会社が考えていることや目指していることを理解してもらえるよう努めてきました。

中田るみ子(なかたるみこ)氏
中田るみ子(なかたるみこ)氏
三菱ケミカル 取締役常務執行役員。慶応義塾大学文学部社会学科卒業後、エッソ石油に入社。1992年に同社退職後シンクタンク研究員を経て2000年ファイザー製薬に入社。同社開発人事部人事企画担当マネジャー、開発人事部人事企画課長、開発人事部人事課長、医薬開発人事(広報)部長、ビジネス・パートナー人事グループ 統括部長、執行役員人事・総務部門長を経て、2014年取締役執行役員人事・総務部門長に就任。2018年三菱ケミカル 執行役員 ダイバーシティ推進担当。2019年常務執行役員 人事所管に就任し、2020年4月より現職(写真提供:三菱ケミカル)。

この記事は登録会員限定(無料)です。

登録会員お申し込み会員登録