2027年に向けた長期経営構想で、イノベーション実現に必要な人材戦略を明言したキリンホールディングス。経営戦略と人材戦略を連動させ、人材と組織の活性化を推進する。「人的資本の情報開示に際しては様々なステークホルダーとの対話が重要」と語る同社の取締役常務執行役員 人事総務戦略担当 三好敏也氏に人材マネジメントの骨子を聞いた。

――人材戦略に重点を置いた長期経営構想を2019年に発表しました。

三好敏也氏(以下、三好):キリングループにおける将来の道標として、2027年に向けた「キリングループ・ビジョン2027(KV2027)」を策定しました。キリングループに共通する価値観「“One KIRIN” Values」をもとに各事業の人材戦略を支援し、全世界の従業員のエンゲージメントを最大化することで持続的な成長を実現することが大きな狙いです。

 キリンがイノベーションを加速して世界のCSV先進企業になるためにはどのような成長戦略を持てばよいかと考え、4つの組織能力を設定しました。「お客様主語のマーケティング力」「確かな価値を生む技術力」「価値創造を加速するICT」「多様な人材と挑戦する風土」です。中でも人材戦略については「多様な人材と挑戦する風土」が重要であると考えています。

――経済産業省の「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」(2019~2020年)にも委員として参加しました。

三好:研究会の伊藤邦雄座長(一橋大学CFO教育研究センター長)の問いに「経営戦略と人材戦略が連動しているか」というものがあり、これについて深く考える良い機会になりました。

 今まで日本企業の人事には、制度を作り、人材を採用し、研修するなど個別の機能はありましたが、経営戦略と人材戦略の連動に関する意識が希薄な部分もありました。しかしESG投資が広がる中、持続的に企業価値を上げるには、特にS(社会)の人材に関わる部分が大事だと投資家を含めたステークホルダーが気づき始めたのです。

三好敏也(みよしとしや)氏
キリンホールディングス 取締役常務執行役員 人事総務戦略担当
1958年生まれ、1982年キリンビールに入社。2008年、横浜赤レンガの代表取締役社長に就任。2010年にキリンホールディングス人事総務部長、2012年に同社執行役員人事総務部長、2013年に同社執行役員グループ人事総務担当ディレクター兼キリン執行役員人事部長に就任。2014年、キリンホールディングス常務執行役員グループ人事総務担当ディレクター兼キリン常務執行役員人事部長に就任し、2015年に現職。同年サンミゲルビール取締役、2019年キリンビール取締役に就任し、2021年キリンビバレッジ取締役。(撮影:菊池 くらげ)。

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