2030年に向けた経営ビジョンのもと、徹底した現場主義をベースに新しい評価制度、ニューノーマルな働き方を導入してきたカルビー。秋には本社オフィスもリニューアルする。社員一人ひとりが「自分事」として業務に取り組むための様々な施策を推進し、「全員活躍」をモットーとする同社常務執行役員 CHRO 人事総務本部長の武田雅子氏に、人事戦略の骨子を聞いた。

――2020年4月、現場の声をもとに新しい評価制度「バリュー評価」をスタートしました。経緯を聞かせてください。

武田雅子氏(以下、武田):2018年に私が転職してきた当時、カルビーは年ごとの成果を重視して、評価制度を運用していました。ただ、現場から「1年では成果が出ない場合がある」「外的要因で結果を残せないような場合、仕事のプロセスも評価してほしい」という声を聞くようになったのです。社員のモチベーションに関わることなので、評価方法を工夫したいと考えていました。

 2019年5月に、カルビーが10年後に目指す姿「カルビーグループ長期ビジョン(2030ビジョン)」を策定したのを機に、当ビジョンに対して社員がどう考え行動するべきかを評価軸にしようとスタートしたのが、このバリュー評価です。「挑戦」「好奇心」「自発」「利他」「対話」の5つのバリューを定め、グレードごとに行動に落とし込み基本給に反映する仕組みとしました。

 バリュー評価の特徴は、社員の声に基づいて策定した点です。全国の事業所10数か所を回ってワークショップを開催し、「2030ビジョンを達成するために必要な行動と、そのもとになる価値観」について若手社員を中心に意見を集約しました。前述の5つのバリューは、集まった500以上の案がベースになっています。上からの押し付けではなく社員が中心になって作ったので、腹落ちしてもらえたと思います。

――現場の声を反映した制度ですね。行動と価値観については、未来からのバックキャスティングで検討したと聞いています。

武田:「こうでないといけない」「今のままではいけない」という否定から入ると行動に蓋をしてしまうので、「未来にどうありたいか」とポジティブに考えることを大切にしました。

 評価は話し合いで決めるので、評価する役職者次第ということになります。当初、この制度について説明会を行った際、戸惑った役職者もいましたが、「部下の声をもとにした制度」と説明し納得してもらえました。バリュー評価は最初から完成しているものではなく、上司と部下が2~3年間かけて知恵を絞り一緒に作り上げていく制度だと考えています。

武田 雅子(たけだ まさこ)氏
カルビー 常務執行役員 CHRO 人事総務本部長
1989年、クレディセゾン入社。全国のセゾンカウンターでショップマスターを経験後、営業推進部トレーニング課長、戦略人事部長などを経て、2014年人事担当取締役就任。 2016年営業推進事業部トップとして大幅な組織改革を推進。2018年カルビーに入社し、2019年より現職。日本の人事部「HRアワード」個人の部最優秀賞受賞(2018年)。ライフテーマは「しあわせに働く人を増やす」、好きな言葉は「全機現」。(写真提供:カルビー)