プラント大手の日揮グループが新たな成長戦略に挑む。5月に発表した長期経営ビジョン「2040年ビジョン」では、2040年度の営業利益を1500億~2000億円にすることを目標にビジネス領域、ビジネスモデル、組織の3つのトランスフォーメーション(変革)を掲げた。同グループは2018年からトップダウンでデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進。陣頭指揮を執ったのは日揮ホールディングス常務執行役員CDO(最高デジタル責任者)デジタル管掌 人財・組織開発管掌の花田琢也氏だ。DXを推進した成果や2040年に向けた新ビジョンと人事戦略について聞いた。(撮影:菊池くらげ)

──2018年からCDO(最高デジタル責任者)と人事部長を兼務してDXを推進してきました。こういった兼務は国内では珍しいです。

花田琢也氏(以下、花田):2017年、当社としては90年の歴史の中で、エンジニア出身では初めて人事部門長に就任しましたが、翌年のCDO就任時に人事部門長を兼務した背景には、社長の石塚忠が「デジタル戦略を進めるには人財戦略は欠くべからざる要素」だと指摘したことがあります。

 2018年4月、まず社内に分散していたデジタル系部門を統合して「データインテリジェンス本部」を設立しました。次に、デジタル戦略の「ITグランドプラン(ITGP)」を策定するわけですが、構成員がデジタル系メンバーだけでは思考がシステム寄りに偏ると考え、プロジェクト、設計、建設、調達などの事業部門から30~40代のメンバー25人を集めました。部門長が簡単には手放したがらない優秀な中堅社員ばかりでしたが、「デジタルジャーニーを推進する」という経営トップの発信が人材獲得に奏功しました。

 こうして「2030年に日揮のありたい姿」を掲げ、そこからバックキャスティングすることで、外部のコンサルティング会社などの協力を得ずに自前でプランをつくりあげ、本部設置から約8カ月後の2018年12月、「グランドプラン2030」をリリースしました。

花田 琢也(はなだ たくや)氏
日揮ホールディングス 常務執行役員CDO デジタル管掌 人財・組織開発管掌 1982年、横浜国立大学工学部卒業後に日揮にエンジニアとして入社し、海外プロジェクトや事業開発に従事。1995年トヨタ自動車に出向し、海外の自動車工場建設プロジェクトに参画。2002年、NTTグループとライフサイエンス系e-コマース事業を設立しCEO(最高経営責任者)に就任。2008年、JGC Algeria S.p.A(日揮現地法人)に赴任しCEO就任。2012年、国際プロジェクト部長、2016年事業開発本部長、2017年人財・組織開発部長を経て、2018年CDOに就任。2021年4月、日揮グローバルのエンジニアリングソリューションズセンター 常務執行役員 プレジデントを兼任。