ホームセンター大手のカインズが9月、新たな人事戦略のコンセプトを発表した。2019年に策定した3カ年中期経営計画「PROJECT KINDNESS(プロジェクトカインドネス)」の柱として推進してきたデジタル改革が成果を上げ、いよいよ人と組織の改革に着手する。同社のCX(コーポレートトランスフォーメーション)につながる人事戦略について、6月からカインズのCHRO(最高人事責任者)人事戦略本部 本部長として改革を推進する西田政之氏に聞いた。

──9月から新しい人事戦略をスタートしました。背景と経緯をお聞かせください。

西田政之氏(以下、西田):これまでカインズは、いわゆる「チェーンストア理論」(多店舗の運営を本部が中央集権的に行い、経営効率を上げる手法)により、ルールに基づいた統制ある経営によって急成長を遂げてきました。現場では、上長から任された業務を完遂することを目指していました。

 しかし時代とともに働く人の考え方も変化しています。個人の承認欲求が強くなり、ジョブマーケットも変わりました。学生や若年労働者が企業を選ぶ際、ネームバリューや安定性より、自己成長できる環境がある会社かという点が重視されるようになってきています。

 こうなると、従来の人と組織の在り方では成長に限界が見えてきます。会社がステージアップするには、個々のメンバーが自律的に行動し、多様な人材が交わることでイノベーションを促し、生産性を上げるような組織が必要になります。会社としても、個と向き合い一人ひとりに寄り添うことが求められるようになりました。

 そこでカインズは、大きく3つの人事戦略を進めます。1つ目は管理本部の中にあった人事部を切り出し、人事戦略本部を組成したことです。従来の人事はどちらかというと管理的、受動的に業務を遂行していましたが、これからは能動的な人事に転換します。

 2つ目はHRBP(HRビジネスパートナー)機能の導入です。各部門にHRBPを置くことでより現場に根差し、一人ひとりのメンバーに合った職場環境を整備することで会社全体の生産性を上げることが目的です。

 3つ目が今回の人事戦略の目玉でもある最新コンセプト「DIY HR」です。

西田 政之(にしだ まさゆき)氏
カインズ 執行役員CHRO(最高人事責任者)人事戦略本部 本部長 CAINZアカデミア学長 1987年、金融分野からキャリアをスタート。1993年米国社費留学を経て、内外の投資会社でファンドマネジャー、金融法人営業、事業開発担当ディレクターなどを経験。2004年に人事コンサルティング会社マーサーへ転じ、人事・経営分野へキャリアを転換。2006年に同社取締役クライアントサービス代表を経て、2013年同社取締役COOに就任。2015年にライフネット生命保険へ移籍し、同社取締役副社長兼CHROに就任。2021年6月より現職。日本CHRO協会 理事、日本アンガーマネジメント協会 顧問、日本証券アナリスト協会検定会員、MBTI認定ユーザー。(写真提供:カインズ)