新しい人事コンセプトでキャリア自律を推進

──「Do It Yourself」のDIYですか。カインズらしいです。

西田:カインズの店舗には木材の加工や溶接、3Dプリンターによる工作などを体験できる「CAINZ工房」を設置し、お客様にDIYの楽しさを訴求しています。今回、人事にもこのDIYのコンセプトを組み込もうと考えたのです。

 例えば自分のキャリアや成長を、メンバーが自身でプランしてつくりあげていく。人事の役割は、CAINZ工房のように個人をサポートするという考え方です。主役はあくまでも個であり、会社からの指示は最低限にして、メンバーが自己実現していける会社にしたいと考えています。

 「DIY HR」は、「DIY Career Path」「DIY Learning」「DIY Communication」「DIY Workstyle」「DIY Care (Well-Being)」の5つの柱から成り立っています。それぞれ、以下のようになります。
1)DIY Career Path:「自らのキャリアは自らで作る」を基本コンセプトにし、プロフェッショナルとゼネラリストなどのキャリアパスを複線化する。
2)DIY Learning:メンバーが自由に学べる仕組みをつくり、リスキルを推進する。
3)DIY Communication:1on1をコミュニケーションのベースとし、社内外の交流と相互理解を促す仕組みを整備する。
4) DIY Workstyle:ライフイベントに応じて、多様な働き方を選べるようにする。
5)DIY Care (Well-Being):心と身体をケアするプログラムを整備し、心理的安全性の確保に努める。

 1)については、メンバーの意思によって職務分野や部門に異動できる仕組みも整え、3)の上長との定期的な1on1をベースに、メンバー一人ひとりの自己実現を支援します。

(写真提供:カインズ)
(写真提供:カインズ)

──2019年スタートの「PROJECT KINDNESS」は、今回の人事戦略にどのようにつながっていますか。

西田:背景をお話ししますと、カインズはいま「第3創業期」です。創業者の土屋嘉雄がホームセンターを全国展開した「第1創業期」、2代目社長の土屋裕雅がSPA(製造小売り)事業を立ち上げオリジナル商品を拡大した「第2創業期」、そして2018年に第3の創業として、IT小売企業宣言をしました。デジタル化を推進する中で、当グループの経営理念「For the Customers」を実現するには、自分たち自身が変化していく必要がある。そのためには全社改革、コーポレートトランスフォーメーション(CX)によって、人と組織を変えていくことが必須と考えました。

 第3の創業のために現社長の高家正行が中心となって2019年に策定した「PROJECT KINDNESS」は、4つの柱で構成されています。新事業を開発するSBU(ストラテジック・ビジネス・ユニット)戦略、デジタル戦略、空間戦略、メンバーへのKindnessです。4つ目の「メンバーへのKindness」が、今回の新人事戦略に結びついてくるわけです。