複写機などの製造・販売が主力業態だったが、ペーパーレス化を見すえてデジタルサービスへの転換を推進。22年度よりジョブ型雇用制度を導入し若手登用を強化する。また、管理職を対象にした研修を立ち上げ組織全体のマインドセット転換を図っている(取材・構成=原田かおり、文=加納美紀、撮影=川田雅宏)。

ジョブ型導入で若手にチャンスを拡大

リコーは21年の中期経営計画で、OA機器メーカーからデジタルサービスカンパニーへの方向転換を掲げています。経営戦略と連動して、どのような人事戦略をスタートさせたのか教えてください。

瀬戸まゆ子氏(以下、瀬戸):大きな柱は、今年4月から導入したジョブ型人事制度です。高品質なモノをつくって売るビジネスから、顧客ニーズが千差万別なデジタルサービスへと舵を切ります。こうしたビジネスでは機動的に課題を解決していかなくてはなりません。従来とは180度変わるので、モノづくりに長けた人材も生かしつつ、デジタルビジネスでの課題解決できる人材をスピード感持って育てていく必要があります。

 ジョブ型はグループ会社3万人のうちリコージャパン(販売会社)の1万8000人を除いた、約1万2000人へ一斉に導入しました。リコージャパンの社員は顧客に最も近い立場におり独自の人事制度を設けているので、ジョブ型へのブリッジングにワンクッション必要です。そのためリコージャパンへのジョブ型導入は1年の猶予期間を設け、2023年4月から導入する予定です。

瀬戸 まゆ子 氏 リコー コーポレート上席執行役員 CHRO 人事部部長 
瀬戸 まゆ子 氏 リコー コーポレート上席執行役員 CHRO 人事部部長 
大学卒業後、米国の大学にて臨床心理学修士号取得。2000年日本イーライリリーに入社。人事に携わった後、ゼネラル・エレクトリックに入社しヒューマンリソースリーダーシッププログラム(HRLP)を履修。2005年に韓国、後に日本のGEコンシューマー・ファイナンスにて組織開発担当及びHRビジネスパートナーを務める。ソシエテ・ジェネラル証券人事部長、メットライフ生命保険(現:メットライフ生命)人事部執行役員、武田薬品工業ジャパンファーマビジネスユニット人事部長を経て、2020年から現職。

瀬戸:メンバーシップ型雇用では同じポジションに留まっている人が多かったので、これからは同じロールに滞留している人の割合を定点観測し、2年以上同じポジションにいる人の割合を減らしていきたいと考えています。例えば高い専門性を身に着けるにも、限定された分野における一定の幅広い経験が必要ですし、同じことを何年も続けたとしてもスキルの地盤沈下を招きます。ある程度早いタイミングで仕事の内容を変えていく柔軟性も重要です。もちろん違う職種への異動ばかりでなく、例えば同じ人事部門の中でも採用担当から育成担当に移る、といった動きもあります。もっと言えば、同じ部署にいても、やるべきことは年々少しずつ変わっていくはずです。

 中でも、デジタルビジネスへと舵を切るには、まず身近なところでチームや仕事や役割を変えて変化への適応性を高めていく必要があります。2年という短いサイクルで仕事を変わればスピード感も生まれるし、自分の仕事を振り返る機会になるのでキャリアの棚卸しもできるでしょう。

この記事は登録会員限定(無料)です。

登録会員お申し込み会員登録