理由を問わずどこでも仕事ができ、一定の時間内で好きな時に働ける──。ユニリーバ・ジャパンは2016年、革新的な働き方を実現する制度を導入した。「自分を含め、皆が幸せになること」を目的に、「人事が会社を変える」と語るユニリーバ・ジャパン・ホールディングス 取締役 人事総務本部長(CHRO)の島田由香氏に話を聞いた。
──2016年に、働く場所や時間を自由に選べる新人事制度を導入しました。これをはじめとした組織改革や人事戦略についてお聞きします。
島田由香(以下、島田):組織改革、人材戦略というと大仰に聞こえますが、私は「これが人材戦略で、これは事業戦略」と分けられるものではないと思っています。人に関する戦略はすべて事業戦略だと考えていますので、この数年間でユニリーバ・ジャパンとしてやってきた改革やアクションと成果について二つお話しします。
まず、私は人というものをごくシンプルに考えています。人は周囲から注目され、ケアされたい。そして誰かとつながったり、他者に貢献したりできることをうれしいと思うものなのではないかと。人事に関しても、どうしたら皆がハッピーになり笑顔になるのかという観点で考え、2016年にWAA(Work from Anywhere and Anytime)」を導入しました。従来の在宅勤務制度やフレックスタイム制度を見直し、「上司に申請すれば理由を問わず、会社以外の場所で勤務できる」「平日の5時~22時の間で自由に勤務時間や休憩時間を決められる」というのがWAAのポイントです。これは当社にとって一つの大きな改革でした。
導入後のアンケート調査では、70%の社員が「毎日にポジティブな変化があった」、33%の社員が「幸福度が高まった」と答えています。WAAによって社員が自分にとって最適な働き方を選べるようになり、豊かな時間を過ごせるようになったことが、この3年間の大きな成果だと思います。

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