例えば、大人の発達障害の場合は
・障害の程度は軽いけれども、人によって違います。
・耳から入る情報を整理して受け取るのが苦手です。指示は文字や
 図などに視覚化して伝えると良いでしょう。
・複数課題を同時に処理するのも得意ではないため、仕事は
 一つずつ。
・「あとで提出して」の「あとで」のような曖昧な言語指示の
 理解が苦手なので、「○時までに」など具体的な指示を行って
 ください。
・特定のことにこだわりを持つと、そこから注意が離れなくなること
 があります。
といった内容です。

 また、トラブル時の対応も、もちろん行います。本人と職場の皆さんの間に入って双方の状況や対応について話を聞き、トラブルの原因を明らかにして、解決方法を探り提案します。

「ジョブコーチ」は無料で利用できる

小川教授:ジョブコーチとは、アメリカで1986年に制度化され誕生したものです。日本では2002年に障害者雇用促進法が改正されて、まず、障害者職業センターや福祉施設から企業の職場へ派遣されて障害者の就労を支援する職場適応援助者としてジョブコーチが導入されました。

 その後、企業内に在籍しながら障害者の就労を支援する企業在籍型ジョブコーチが2005年に制度化され、現在は「配置型」「訪問型」「企業在籍型」の3つがあります。

 3つの違いは以下の通りです。
◆配置型:地域障害者職業センターに配置され、障害者の就労先を
 訪問して支援を行うジョブコーチ
◆訪問型:障害者の就労支援を行う社会福祉法人などに雇用される
 ジョブコーチ。障害者の就労先を訪問して支援を行う
◆企業在籍型:障害者を雇用する企業に雇用されるジョブコーチ

 ジョブコーチの利用を希望する場合は障害者職業センターに問い合わせて申し込みます。費用は無料です。支援対象となる社員は障害者手帳の有無にかかわらず利用できますが、利用には事業主と本人の両者の承諾が必要です。まずは、センターにご相談ください。

企業在籍型ジョブコーチ養成講座の需要が増加中

小川教授:この3つのなかでも、当初は企業在籍型ジョブコーチの普及は遅れていました。その養成研修受講者数は、募集定員に満たなかったのです。それが現在では定員を上回る応募があり、訪問型ジョブコーチよりも、企業在籍型ジョブコーチの方が受講需要が多い状況です。

五十嵐Dr.:需要が逆転した理由は何ですか?

小川教授:障害者雇用促進法の改正によって、精神障害者の雇用が加えられ、企業に求められる障害者雇用率も引き上げられたことにより、「発達障害」と「精神障害」を持った社員の雇用が増えているためです。どちらも、障害特性が分かりにくいのですが、ジョブコーチの研修を受ければ、対応できる専門性を身に付けられるという期待が企業側にあると考えています。

 それと併せて、発達障害者や精神障害者は、特例子会社の障害者雇用ではなく、一般企業の障害者雇用を希望する人が多く、一般企業の職場でどう雇用管理したらいいのかという研修ニーズが高まっているのではないかと思います。