会社の看板がなくても活躍できる「プロ人財」を育成

 サトーホールディングスでグローバル人財開発室長を務める江上茂樹氏は、従業員に対して「会社に頼らずに、自分一人でも食べていけるような人財になることが大切だと言い続けている」と語る。1940年の創業から、約20年ごとにビジネスモデルを変え続けてきている同社では、自社の求める人材像を「自ら考え行動し変化を起こす人財」だと定義。江上氏は「期待を超える顧客価値を提供し続ける人財を創出することが競争力に直結する」からだと説明する。

サトーホールディングス エグゼクティブフェローグローバル人財開発室長 江上 茂樹 氏(撮影=棚橋 亮)

 同社は、年代ごとにサトーとして求める人財イメージを策定しており、それに基づいて年代別キャリア研修を順次実施している。「最終的には、サトーの看板がなくても活躍できるプロ人財になってもらう」(江上氏)ことがゴールとなっている。

 2018年には、次世代経営陣の育成を明確にするために新たな職層を新設。マネジメント系列には「経営職」、専門系列には「専門職」という職層をそれぞれ設置した。併せて、両職層に対して新しい報酬コンセプトを導入。両職層に対して、株式を含めた変動報酬の対象とすることで「経営マインドを持ってもらう」(江上氏)という。

キャリア自律のための環境作りは人事や経営の役割

 参天製薬の理事で人事本部に所属する藤間美樹氏はキャリア自律を「成し遂げたいキャリアビジョンを持つこと」だと前置きした上で「今の会社に頼らずに自らのキャリアは自ら築くという思いを持つことが大切」だと説明しているという。

参天製薬 理事 人事担当 藤間 美樹 氏(撮影=棚橋 亮)

 2018年に参天製薬に入社する以前も含めて約20年間、グローバルな人事に携わり、このうち14年間は外国人が上司だったという同氏は「キャリア自律については、欧米企業と日本企業で大きな格差がある」と指摘する。ただし、日本企業が悪いわけでなく、経営環境の違いから、このような格差が生まれてきたという。

 同氏は、キャリア自律を実現するための環境を整えることやマネジャーの意識改革も、人事や経営の重要な役割だと指摘する。参天製薬では、コロナ禍前の2020年1月に「キャリア自律支援策」を導入。さらにコロナ禍の真っただ中の同年4月には、同氏が「非常にチャレンジング」だと評する「グローバル・ジョブ・ポスティング」を導入。グローバル規模で空きのあるポジションに対して、参天製薬の社員であれば誰でも応募できるという制度だ。

Human Capital Online編集長 原田かおり(撮影=棚橋 亮)

 本セッションでは、この後に「スキルやコンピテンシーの可視化」「上司から部下へフィードバックを行う際の留意点」「オンライン研修を成功に導く秘訣」「エンゲージメントの向上策」といったテーマで3人が熱い議論を交わした。