西田氏は「社会に役立つ事業やイノベーションは、一人の人間として、その課題を何とか解決したいという強い思いやパッションがあって初めて生まれる」と語る。このため、「個々の従業員の自己実現欲求」と「企業理念」の方向性を一致させることが、企業の成長やSDGsの実現に結びつくという。両者の方向性をひも付けるのは、CHOの役割だと指摘する。同氏は「徹底的に一人ひとりの従業員と向き合うことが必要になる」と説明する。

 西田氏によると、社会課題を解決するまでのプロセスには①企業の社会的ミッション・理念、②個の共鳴・感化、③挑戦する土壌の整備、④発案・創発を促す仕掛け、⑤社会課題の解決――という5つのステップがあるという。ライフネット生命保険では、このステップのそれぞれに対応した人事施策を打っている。全ての施策に共通するのは「社員の組織からの解放と自律性の尊重」というコンセプトだという。同氏は「才能を見いだし、開花させ、個の目標と会社の目標をつなぎ、個を解放して自律・分散的な行動を支える」ことが、これからのCHOに求められる重要な役割だと強調する。

日経BP総合研究所 コンサルティング局長/日経ESG発行人 酒井 耕一(撮影=棚橋 亮)

 本セッションでは、このほかに「CHO/CHROのキャリアパス」「トップを含めた経営陣を巻き込む方法」「人材育成における今後の注力領域」「自律性を重視した際の人事評価方法」――といったテーマで議論を交わした。