ソフトバンクではHRBPを「組織人事」と呼んでおり、合計で約200人いる人事部門の従業員のうち、74人が組織人事統括部に所属しており、このうち40人程度がHRBPとして活動しているという。組織人事統括部の長を務める足立竜治氏は、組織のミッションを「事業の成功のために、人を知り、現場を知り、勝ち続ける組織を実現すること」だと語る。HRBPを担う従業員は若手も含めて、自ら事業部門の課題を見いだして、本部長に提案するような活動を行っているという。

ソフトバンク 人事総務統括 人事本部 組織人事統括部 統括部長 足立竜治氏(撮影=棚橋 亮)

 メルカリでHRBPマネージャーを務める増田悠氏は、HRBPのミッションを「各事業に対してHR機能をブリッジさせるともに、組織に入り込みながら事業開発に向けての人材開発や人材戦略を立案すること」だと説明する。同社がHRBPを導入した理由は大きく3つある。1つ目が、組織の複雑性に対応すること。2つ目が、「採用に強いメルカリ」から「育成が促進されるメルカリ」へ進化すること。3つ目が、CX(顧客体験)の最大化につながる「EX(従業員体験)ジャーニー」を追求することだという。

メルカリHRBP マネージャー 兼 OTD マネージャー増田 悠氏(撮影=棚橋 亮)

CoEと主従関係があるとHRBPの力を発揮できない

 モデレーターの大塚葉が「日本企業ではHRBPの導入がうまくいかないという話をよく聞くが、どんなところに問題があるのか」と尋ねると、ソフトバンクの足立氏とGEヘルスケア・ジャパンの桜庭氏は、CoE(Center of Excellence)との関係に言及した。

 CoEは、組織横断で設置する研究組織。その企業のビジネスに関する専門知識を備えた人材と最先端の研究環境が配備された組織のことだ。足立氏は「当初はCoEの使いっ走りのようなもので、彼らに言われたものを実行するだけだった」と前置きして次のように説明する。「例えば、過去に優れたエンジニアの採用を求められた際に、CoE側にはその職種に対する深い理解がなかった。エンジニアといっても、たくさんの種類があり、それぞれに求められる素養が大きく異なる。こうした状況を改善するために膝詰めで勉強会を開いたら良好な関係が築けていて、今では良い歯車が回っている」。同氏は「事業部門である程度の役職に就いた人間がローテーションでHRBPを担うのが理想ではないか」と指摘する。