ところが対面できない環境では、仕事の仕方も文化も変容を迫られる。採用であれば「オンライン面接では受験者の表情が読み取りにくい」と嘆くのではなく、どうしたら読み取れるようになるかを考えなくてはいけない。一方で距離の制約がなくなり、世界中の人材を簡単に面接できるようになれば、採用の幅も広がる。

 ウイズコロナでは様々な人事業務の再設計が求められる。そのカギを握るのがIT、いわゆるHRテックの活用だ。「HRテック活用はコロナを契機に明らかに加速する。人事部門は今までテック活用に遅れていた。米国を中心にいいツールが数多くあるなかで、研究して取り込んで効率を上げていく必要がある」。KDDIの白岩徹執行役員はこう語る。

 ユニリーバ・ジャパンHDは既にその方向にかじを切っている。コロナ禍の発生より前から、AI(人工知能)搭載の採用面接アプリ「HireVue」を導入し、オンライン面接の効率化と質の向上を図っている。スマホやパソコンに保存した面接の動画をAIが解析し、表情や動作など2万5000種類の特徴を検出して雇用後のパフォーマンスを予測する。会わないからこそ活用できるソリューションだ。

自宅での働きぶりも見える化する

 テレワークでは社員同士が離れて仕事をするので、お互いの仕事ぶりが見られない。サボッていても分からないことに対し、不安を抱く管理職や経営陣は少なくない。現在多くの企業は、人事考課制度を変更し、考課の対象をプロセスから成果に移すことによってこの課題の解決を図ろうとしている。「サボッていても成果をちゃんと上げていればいい」というスタンスに変えるわけだ。

 一方で、離れていても誰がどんな仕事をしているか分かるようにするというアプローチもある。それを実現する技術が「タスク・マイニング」。社員のパソコンのログを取得・分析し、仕事ぶりを「見える化」する。MeeCap(東京・中央)が提供するタスク・マイニングツールは、パソコン利用時間はもちろん、アプリ別の利用時間や各種サイトの閲覧時間、キーボードのデータに至るまでダッシュボードに表示する。また、実際に行っている業務をカテゴリ分けしてそれぞれにかかった時間を割り出し、業務ごとの課題を分析できる。最小導入コストは300万円と決して安価ではないが、テレワークが普及した2020年4月以降「引き合いは20倍になった」と山田輝明社長は話す。

MeeCapはパソコンのログを解析してアプリ別の利用時間や、実際の業務カテゴリごとにかかった時間などをダッシュボードで表示。仕事の内容を見える化する(出所:MeeCap)
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 とはいえ単なるサボリ防止の監視ツールして使うのではとてもコストに引き合わない。「MeeCapはもともと、業務改善のために業務を可視化するツールとして開発した。業務の最適化に活用してこそ大きな価値を生み出す」と山田社長は話す。例えばキータッチのログを分析して、ミスタッチが多かったり、ショートカットキーを使えていなかったりする人にPCスキル向上の研修を受けさせれば、個人の生産性が上がる。