キャリア開発支援のHRBPを導入したカゴメ

 既にHRBP導入で成果を上げている日本企業もある。カゴメでは2017年、HRBP機能として個人のキャリア開発支援を目的とした「人材育成担当者」を選定した。担当者の業務は「現場を回り1 on 1面談などで個人のキャリア開発を支援する」「現場の人事課題を明らかにする」「経営トップや人事部と連携して課題解決を行う」の3つである。

 HRBPを導入した背景として、同社常務執行役員 CHO の有沢正人氏は、「キャリア自律の必要性」を指摘する。従来のような会社主導の育成によるキャリア形成ではなく、従業員一人ひとりが自分のキャリアを組み立て、会社の事業戦略とマッチングさせることが求められるようになると考えたためだ。

 このためカゴメでは、キャリアコンサルタントの資格、問題解決能力や幅広い人脈を持つ人材、現場に対して説得力のある人材からHRBP担当者を選定した。「(担当者は)皆50代で、研究開発・商品開発の経験豊富な生産・イノベーション畑の人、元支店長など営業現場の経験がある人、本社で部長職を歴任した人など。出身はバラバラだが、あえてそのようにした。人事のスペシャリストではないということがポイント」(有沢氏)

 HRBP導入の成果として、「ファンクションで分かれている縦割りの部分が強かったが、システム導入によりだいぶ改善され、部署を超えた異動も増えた」と有沢氏は語る。

参考記事:『経営トップを動かし戦略をリードするのが人事の役目~カゴメ~』

 ただし、HRBPモデルにベストプラクティスはない。組織の戦略を主体的に理解し、事業として成功させるためのHRBP人材をどのように育成していくかは、企業によって、またその時々の経営戦略によって変わってくるだろう。各企業が自社に適したソリューションを模索していくことが望まれる。

(大塚 葉=日経BP 総合研究所 HR事業部 上席研究員)

後世、この2020年が日本企業における働き方改革の転換点になったといわれるでしょう。「with/afterコロナにおいて、元には戻れない」――テレワーク浸透によって人材育成のあり方、雇用制度の見直し、オフィスの存在意義など、コロナ禍の企業経営では人材戦略の実効性がますます注目されています。

日経BP総合研究所では、7/14(火)、15(水)の2日間で「CHO summit 2020 Summer~人と組織の変革に挑む」を開催します。本サミットでは、企業トップや有識者の講演に加え、経営に資する人材戦略に責任とスピード感を持って施策を打っていくCHO/CHROが登壇するパネルディスカッションを実施。「日本企業に求められるHRBP人材とは」と題したパネルをはじめ、次世代リーダー育成、コロナ禍で変える働き方、ESG経営における人的資本など、最新のテーマにおける課題と解決策を議論します。オンラインのライブ配信で実施し、講演とパネルディスカッションでは視聴者の方からの質疑応答も予定しています。