いかにCEOに信頼を得て、影響力を与えるか

須東:CHOの機能として、戦略のパートナー、変革のエージェント、管理のエキスパート、というものがよく言われますが、実際はCEOと話す時間が1カ月に1回というような実情があったりします。CHOはどうやってCEOに信頼を得て、影響力を与えられるようになればいいのか、また巻き込むために何が必要なのか、教えてください。

日本板硝子 執行役人事部統括部長 中島 豊氏

中島:自分の価値観とHR(人事)としての矜持をしっかりと示すというのが大事です。人にコミットしてこられているCEOの場合は、そこはやはりCHROも、お互いに共通言語があって、非常に仕事がしやすいと思います。では、共通言語がない場合どうしたらいいのかというと、やはりそこは、影響力を与えるということですかね。たとえ激しい言葉で叱責されようとも、必要なことはしっかり説明責任を果たす。当社の場合は、恵まれているなと感じるのは、指名委員会等設置会社で役員がしっかりと監督するというガバナンス体制が敷かれていることです。この態勢の中で、人事として組織に対して十分影響力を与えていくことができると思っています。指名委員会等設置会社でない場合も、内部監査組織や監査役が、人事監査をきちんと盛り込んだ体制になっていれば、人事が経営に対して影響を与えることが十分可能であると思います。

須東:HRの矜持というのを具体的に教えていただけますか。

中島:経営のパートナーであり管理の専門家というのももちろんありますが、「我々は社員にとってのゲートキーパーなんだ」というところですね。経営側があまりにも社員に対してひどいことをした場合にNOと言えるのは、労働組合とHRだけだと思っています。

須東:有沢さんは、これについてどう思われますか?

有沢:全く同じなのですが、あえてつけ加えるなら、CEOに、変わることの楽しさを少しずつ教えるということですかね。実際カゴメでも「有沢と話すと、変えることばっかり言ってくるんだけど、お客様から『最近、カゴメって変わったね』って言われていい気分だ。社員も生き生きしている。有沢、次、何変える?」って言われるようになっています。こっちが逆に、変えることをせがまれる状況になっていたら、しめたものです。

企業文化をどう作り、浸透させるか

組織内サイレントマイノリティ 代表理事 須東朋広氏

須東:どういう風に企業文化を作っていくのか、具体的にここが重要だというようなことがあったら教えてください。

有沢:企業文化には守らなければならないものと、変えていかなければならないものの2つがあるんです。カゴメは創業120年の歴史があり、その中で綿々と続いてきた大切な文化がたくさんあります。それは、僕がぶち壊してはいけないものです。一方で、人事制度を変えてから10年以上経って制度疲労しているものは、どんどん変えていきます。