――今年は新入社員研修でビジネスコンテストを行い、事業化も進んでいると聞きました。

小山:初の試みとして25人の新入社員を5グループに分け、研修の後半1.5カ月間に自分たちでビジネスモデルを作ることをゴールにしました。研修の最後に社長や役員、社員たちの前で発表し、「どの事業にいくら投資したいか」をリアルタイム投票して順位を競いました。知的障がい者の方とのコミュニケーションを援助するアプリを提案したチームが1位になり、予算をつけて事業化を決めました。

 本当に素晴らしいビジネスプランだと社内でも称賛されて事業化となったのですが、さすがに新入社員5人だけでは事業化は難しい。そこで社内公募でリーダー役が1人加わり、さらに大学2~3年生の長期インターンを募集して3人を採用しました。計9人でプロジェクトを進行し、2019年12月にはローンチしました。

新入社員研修から生まれた新アプリ「Homer」(伝書鳩の意)。障がい者向けコミュニケーション支援アプリという位置づけで、障がい者を持つ家族がイラストや写真を選んで組み合わせコミュニケーションをとることができる(出所:セゾン情報システムズ)

バイモーダル組織を目指して

――こうした研修は既存の社員にも行っていくのでしょうか。

小山:弊社が高いシェアを持っている「HULFT」や「DataSpider」の機能強化や新規開発のエンジニアを増やしたいのですが、これまでSIをやってきた社員だと難しいので、キャリチェンジを目指す社員に対して、同様のモード2研修を実施することにしました。人事異動は社内公募を活用して自ら手を挙げる形をとっています。開発部門への異動を希望したら3カ月半ほどのプログラミングを行い、受け入れ部門の要求レベルになったら配属する予定です。この研修は社員だけを対象にするのはもったいないので、中途採用や学生インターンにも受けてもらう予定です。

 こうした取り組みで、社内の空気がゆるやかに変わってきたと実感しています。働き方改革を進めようとしてITツールを導入したり制度を作っても、うまく機能しない企業も多いようですが、考え方の順序や目標設定が間違っているからかもしれません。「働き方改革」はゴールではありません。当社の場合は「組織風土の刷新」という大きな課題の解決を目指して人事プログラムや研修の刷新、役割の明確化、ノールールといった施策を実現した結果、自然と働き方が変わりました。風通しのいいチャレンジングな風土の中で、先ほど示した4象限にモード1、モード2の“両利き”のスキルで取り組み、最高のパフォーマンスを出せる組織を目指していきます。

(構成/加納美紀)