医療リワークの目的が「精神科治療と再休職予防」であるのに対して、職リハリワークは地域障害者職業センターの職業カウンセラーが、休職者と雇用主、主治医の間に入り、職業リハビリテーションを実施して、本人の職場への適応を支援することが大きな目的です。したがって、症状が不安定な場合、せっかくのプログラムも効果を上げにくいのです。

 また、福祉リワークは失職中の障害者に対して障害福祉施設が行う、主に障害者雇用を目的とするもの。職場のリワークは企業内で休職者に対してEAP(従業員支援プログラムを提供する企業)が行い、対象者を働かせて良いかどうかを見極めるのが目的です。

 いずれも、病状回復に向けた医学的治療による再休職予防という視点がないことが、医療リワークとの大きな違いです。

限られた休職期間を無駄にせず、有効に使う方法とは

 さて、うつ休職者を復職させるうえで、大きな関門となるのが雇用主の企業が定めている「休職期間の長さ」です。

 それぞれの企業が休職制度を定めているため、勤続年数の長さに比例して休職期間を長く設定している場合が多いものの、企業規模によってその期間や、処遇は異なります。1~2年から最長3年間程度まで長期休職を認めている大企業がある一方で、中小企業などでは3カ月から半年以内と、ごく短期間しか休職期間を設けていないか、あるいは休職制度そのものを持たない中小企業も多いのが現実です。

 一方で、うつの治療と再休職予防には一定の期間が必要です。薬による治療で症状が治まっただけの状態で復職しても、再休職しやすいのは、これまでお伝えしている通りです。

 限られた休職期間を、うつの治療と再休職防止のためにいかに有効に使うかが大切です。そのためにはまず「限られた休職期間という時間を無駄にしない」という意識を持つことが必要です。

 長年、治療にあたってきて最も残念に思うのは、休職期間が残り少なくなってから、リワークプログラムを受けようと当クリニックに転院してきた患者さんが、十分な復職準備ができないまま休職期間満了が近づき、やむなくプログラムの途中で復職しなければならなくなった結果、再休職してしまい、結局、退職してしまうというケースです。

 そもそも休職期間が短い場合は、最初から医療機関が行うリワークプログラムを選んで、すぐに参加してほしいのです。

 残りの休職期間が短くなってからでは、十分に対策できないことが増えてしまうからです。

 さらに、いろいろな医師がいます。休職している患者に月に一度も診察しない医師も、生活指導もしない医師もいます。医師にも得手不得手があり、こうした医師はうつ休職者の治療には向いていません。これでは時間を浪費しているにすぎません。

最初の病院探しの段階で医療リワークを選ぶ

 うつ治療には、急性期、回復期、復職準備期の3つの段階があります。何らかの原因からストレスがこうじてうつの症状が現れ、就業できないほどになった「急性期」では、まず原因となった環境からいったん離れて、休息と共に適切な薬物治療を行い、症状を改善させることが必要です。

 しかし、この時期を漫然と長引かせてしまうと、限りある休職期間を無駄に費やすことになりかねません。病気になって、会社を休職する事態になった時点でまず、リワークを行っている医療機関を探して、そこへ行くことをお勧めします。

 急性期の後半から、リワークプログラムへの参加を前提とする治療を続けることで、回復期に入ったタイミングでリハビリを開始でき、休職期間を無駄にせず、再休職防止のためのスキルを学ぶ時間を持つことができます。