役員も変わらなければ

 もう一つ付け加えたいのは、ジョブ型の導入は、役員層も例外ではないということだ。

 戦略が変われば、求められるジョブが変わり、適切な人も変わる。それは役員にも適用すべきなのだが、多くの日本企業において、取締役はメンバーシップ型で選抜された最高位の人、いわば社内出世レースのチャンピオンなので、組織が変わり、戦略が変わり、役員の名刺までは変わっても、顔触れはずっと変わらないということが往々にして起こっている。このような状態では、どれだけ従業員側をジョブ型に変えたとしても、戦略に応じた人的資源の最適配分というゴールは実現できないだろう。理由は簡単で、戦略に応じて組織の上から必要なジョブをデザインし、最適な人をあてがっていくべきなのに、その最上位の部分が瓦解しているからだ。

 経営環境の変化が激しくなる中、戦略の賞味期限は圧倒的に短くなっている。IT企業などでは、そもそも中長期の経営計画を策定しないようなところも出てきている。戦略が短期間で変わるのであれば、それに合わせて、人を素早く調達できるマネジメント基盤を作ることが今度は求められる。ある米国のIT大手は、毎年戦略が決まったら、日本を含む世界中の組織ですぐに必要なポジションを全部洗い出し、新しい組織に作り替えているという。このように骨太でアジャイルな仕組みを作るうえでも、ジョブ型のエコシステムが今後は不可欠になってくるだろう。