コロナ禍でオンライン上でのミーティングや研修に取り組むようになった企業が急増している。オンラインでは、コミュニケーションや空間など相互のやり取りの制限があるので、これまで以上にファシリテーションスキルが求められる。これからの時代に求められるファシリテーションスキルとは何か、そしてオンラインでも企業の活性化につながる研修とはどんなことなのか――。この連載で、これらのことを解き明かしてきた。

 最終回となる今回は、中高教諭で企業とのコラボ企画やレゴを使った思考力入試など、さまざまな取り組みを推進している児浦良裕氏が、コロナ禍の影響で社員が見失ったキャリアや目標を立て直す方法を解説する。

児浦良裕(こうら よしひろ)
聖学院中学校・高等学校 広報部長・国際教育部長・21教育企画部長
21世紀型教育機構 教育研究センター主任、教育プロデューサー、学校マーケティングコンサルタント。東京理科大学理学部卒業。ベネッセコーポレーションで16年勤務後、中高教諭に転職。数学・情報を担当するが、それ以外にも学校のマーケティングやグローバル教育、STEAM教育など新しい「21世紀型教育」をプロデュースしている。企業とのコラボ企画やレゴを使った思考力入試など、さまざまな取り組みを推進。共著に『ワークショップのアイデア帳』(翔泳社)。

Q.コロナ禍で会社や担当業務に大きな影響が出る社員が多く、今後のキャリアの方向性や目標が見えづらいとよく相談を受けます。どうしたらコロナ後を見据えた前向きなキャリアを考えてもらえるでしょうか?

A.時期を分けて、改めてスキルやキャリアを見つめ直す研修やワークショップを全社規模や個人単位でやってみるといいでしょう。

【Point1】アフターコロナは「アフターデジタル」の時代に

 現在は私立の中高で教師をしていますが、その前には16年間教育会社で営業や商品開発、マネジメントをしていました。企業にいる頃から、さまざまなワークショップの手法を取り入れて、企画立案やチームワークづくり、マネジメントを行ってきました。それらの手法は生徒たちや先生同士も大いに活用していますし、企業やNPO団体など多くの外部の方々とコラボレーションをした取り組みを進めています。

 働くフィールドは変わったものの、学校も企業も多くの人が集まり、ビジョンを共有していないときちんと目指す方向に進んでいくことが非常に難しいという点では同じ。今回のコロナ禍による休校や自粛、テレワークやオンライン授業など、学校も企業も大きな課題を抱え、転換期を迎えています。コロナ禍の「今」だけに集中すると、「売り上げを維持しなければ」「とりあえず乗り切って戻さなくては」というような一時しのぎの無茶な対策に出てしまいがちです。目先のことしか見えていないと、会社も社員も不幸な結果を招きかねません。社員たちは会社の動きをこれまで以上に注目していますが、そのビジョンなきやり方にモチベーションが落ちている社員も増えているでしょう。

 一方で、この混沌とした状況の中でも「コロナ後には、きっとこういう世界になるだろう。だから今どう動くのか」をきちんと見据え、ビジョンを持っている企業は全く違った動きをしています。それは、まさにリアルの世界がデジタルの世界に包含される「アフターデジタル」の時代が到来することを見据えることと同じです。慌てて「今」だけを見てデジタル化するのではなく、アフターデジタル時代にどんな道を描いているのかが企業の成否を分けるでしょう。