コロナ禍から生まれた知恵を次に生かすことが大切

 布施氏は自身の仕事を「個人や組織のパフォーマンスを最大限に引き出すこと」だと評する。ある特定のソリューションを顧客である企業やスポーツチームに当てはめるのではなく、応用スポーツ心理学のフレームワークをベースに、その組織や個人の特性に合った指導を行っている。このため、スポーツチームや企業ごとに指導方法は変わってくる。「フレームワーク自体は科学的に再現性があるものです。それを組織の状況ごとにどのように応用するかを考えるのです」(布施氏)。スポーツ心理学の専門家ではあるが、こうした取り組み方を聞くと科学者に近いのかもしれない。

 現在、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、多くの企業が従来とは異なる働き方を強いられている。多くの企業が過去に経験のない制限の中で仕事をせざるを得ない状況だ。布施氏は「今のような状況こそ『仮説・実行・データ』のプロセスが企業経営にとって大きな強みになります」と分析する。正解のない中で仮説の立案から修正までを短期間で回せるからだ。

 布施氏の提唱するプロセスを知らなくても、様々な企業で新しい働き方の仮説の立案と検証を繰り返しているはずだ。同氏は次のように助言する。

 「厳しい経営環境ですが、逆境の時ほどこのような取り組みをやってほしい。ここで生まれた知恵やノウハウを次に生かせれば必ず組織や個人の成長につながるはずです」