■Point3
参加者が主体的に参加できるための仕組み作りが重要

 オンラインの環境は、参加者からの反応が見えにくく、講師からの一方通行の情報伝達に偏ってしまいがちです。だからこそ、参加者が主体となるような仕組みや、一方的な情報のダウンロードにならないようなファシリテーションを実施することが重要です。ブレークアウトルームのような個室をオンライン上に用意し、少人数での対話の場を作っていくアプローチもあります。

 以前、あるソフトウエア会社に対して、リモートワークにおける信頼関係の構築をテーマにオンラインでの研修を実施しました。緊急事態宣言の真っただ中、急遽働き方が変わったなかで「どう、お互いに信頼関係を持って仕事を進めていくか?」「どんな新しい働き方を全員で創り上げていくか?」といったことについて、全員が自宅からのリモート参加で開催しました。

 一人ひとりの声、組織に潜む見えない声を丁寧に扱う必要があり、「システム・コーチング®」という、人と組織の関係性を扱うコーチングメソッドを活用しながら、自分たちの組織の信頼関係の土壌作りをオンライン上で醸成していきました。その際には、グーグルが提供する「Jamboard」というオンラインのホワイトボード上に相互に意見を書き込み、見える化できるツールなども活用したことで、さらに対話の活性化につながりました。その後、フォローとして動画の研修コンテンツを配信し、各チームに分かれて対話を重ねて発表し合うなど、今後の新しい働き方を主体的に推進していく動きにもつながっています。

 オンラインでの深い対話を進めていくうえで最も重要なのは、気軽に声を出しやすい場作りです。時には、あえてアナログの切り口で、その場に立って何か身体感覚で表現してもらったり、白紙にマジックで書き込んで見せてもらったりするなど、デジタルに頼らない参加型の仕掛けも効果的です。例えば、アイスブレークを兼ねて「家の中にある最近のお気に入りのものを1分以内で取ってきて!」と問いかけて紹介し合うような取り組みも、自宅という参加場所を生かしてつながり合える体験の一つだといえます。

○満足度の高いオンライン研修にするために考えること

・時間配分、日程配分
参加者が集中できる配分の考慮。海外からの参加者がいる場合は時差の考慮も必要

・万全なオンラインプラットフォーム
事前に講師と参加者の動作環境の確認。講師の通信環境、表情の写り具合など。

・ITサポート担当者との担当配分
ファシリテーターができるだけ場に集中できるようなテクニカルサポート

・安心安全の場作り
ファシリテーターとしての在り方・関わり方、場作りのデザイン

■Point4
「お互い様」の精神で互いに状況を理解し合う

 社内での集合研修との違いも考慮に入れておく必要があります。最大の違いは、参加者一人ひとりの受講環境が違うという点です。自宅から参加している人にとっては、突然宅急便のベルが鳴ったり、子供が泣き出したり、ペットが写り込んだりと、プライベートとの切り分けが難しい状況もあります。さらに、分刻みでオンライン会議が入っている人も多く、オンライン上で集中して議論したり、考えたりすることには限界があります。

 だからこそ、コロナ禍で大変な状況だけれども「お互い様」の精神を持ち、状況を理解して寄り添うことが大切です。「何があっても大丈夫ですからね」「お尻が痛くなったら立ってもいいですよ」などと声をかけるだけで、明らかに場の雰囲気が和らぎます。対面型の研修のように「全員が集中して、黙々と参加すべき」という概念を手放すと、ファシリテーターも参加者も楽になると思いますよ。

(構成/岩辺みどり)