コロナ禍でオンライン上でのミーティングや研修に取り組むようになった企業が急増している。オンラインでは、コミュニケーションや空間など相互のやり取りの制限があるので、これまで以上にファシリテーションスキルが求められる。これからの時代に求められるファシリテーションスキルとは何か、そしてオンラインでも企業の活性化につながる研修とはどんなことなのか――。この連載で、これらのことを解き明かしていく。

 多くの企業の研修から日本代表選手のコーチングやワークショップまでを担ってきたNPO法人コーチ道の松場俊夫氏が、オンライン1on1ミーティングを導入・運営する秘訣を前後編の2回に分けて解説する。

松場俊夫(まつば としお)
NPO法人コーチ道 代表理事
組織人事コンサルタント、ファシリテーター。関西学院大学商学部卒業後、リクルートに入社。就職情報誌などのコンサルティング営業に従事した後、退職。その後アメリカンフットボールのプロコーチとして、日本選手権で5度優勝を経験。2007年W杯日本代表コーチにも選出。現在、企業やスポーツの領域で講師・ファシリテーターとして5万人以上に研修やワークショップを実施。共著に『ワークショップのアイデア帳30』(翔泳社)。

Q.テレワークが始まり、オンラインでの1on1ミーティングの導入を検討しています。今からオンライン1on1を導入するには、どのような点に留意すればよいでしょう?

A.社員同士のコミュニケーションが激減した今こそ、オンライン1on1で社員のエンゲージメントを高めるべきです。これまでリアルで1on1を実施していた企業も、そうでない企業も、オンライン1on1を導入する絶好のチャンスだと考えましょう。

■Point1
1on1はトップダウンでの導入が必須、人事評価と連携させる

 コロナ禍でテレワークを導入する企業が急増しています。私が長年研修やセミナーを担当してきた企業の多くも、今年はオンライン研修に切り替えています。

 テレワークになったことで、社内のコミュニケーション量は急速に減っています。以前は、ちょっとしたことでもすぐに上司と相談できた部下たちも、声をかける機会を失っていることでしょう。マネジメント側も部下の様子が見えなくなりました。「たいしたことじゃないけど、ちょっと聞いてみようか」という程度の相談へのハードルが一気に上がったのです。これによって、結果的に問題が積み重なって気づいたら遅かった――ということも起こり得る状況です。

 そうしたコミュニケーションへの壁が高くなっている今こそ、部下の進捗や体調、課題などの情報を収集できる場がオンライン1on1です。離れているからこそ、1on1が必要なのです。

 コミュニケーションには大きく2つのタイプがあります。①道具的コミュニケーション(報連相や仕事の指示など)、②自己充足的コミュニケーション(あいさつやちょっとした無駄話など)――の2つです。

 テレワークになったことで、自己充足的コミュニケーションの機会が激減しました。しかし、実は人間の関係性を深めるのは、こちらのタイプのコミュニケーションです。仕事の話だけをしていては、信頼関係はある一定以上には深まらず、部下の状態も把握できません。

 このタイプのコミュニケーションは昭和の時代だったら飲み会が補完していたのかもしれません。しかし、今はテレワークでなくても働き方改革が進んだり、パワハラやセクハラを恐れて仕事と関係ない話を避けたりと、コミュニケーションの機会が減ってしまいました。