信頼関係がなくては、リアルであれテレワークであれ、ちょっとした相談のために声をかけづらくなります。プライベートの悩みが仕事に影響を与えていても、それを言えないまま、気づいたら部下が退職を決意していたということが起こりかねないのです。テレワークの導入によって、こうしたコミュニケーションのハードルがさらに上がった今こそ、オンライン1on1を導入すべきです。

 しかし、現在の日本では9割のマネジャーがプレイングマネジャーといわれており、自分の仕事が忙しい状況。1on1のために毎週時間をとられ、さらにやり方もよく分からないとなると、導入に際して現場の抵抗は大きいでしょう。

 だからこそ1on1 を導入する時は、トップダウンで推進しなければ広がりません。さらに、人事評価ともつなげて制度として上から下に降ろす必要があります。言うなれば、1on1はソフトですが、制度としてのハードも同時に整えてスタートすることが必須です。

■Point2
目的とルールを最初に設定する

 1on1を導入する際に、まず重要なのは「目的」と「ルール」の設定です。ここを曖昧にして流行に流されるように導入すると、失敗に終わります。この目的とルールは、会社によって異なってもよいのですが、ここを最初にしっかり決めておくことが1on1の効果を決定づけます。

 まず、何のために1on1を行うのかという目的を決めます。例えば1on1を早くから導入しているヤフーは、目的として「経験学習を促進する」ことと部下の話を聴くことで「信頼関係を高める」ことを挙げています。対話を通して経験学習サイクルを回し、成長してもらうこと。そして、人と人、人と会社の質を高めて会社のミッションを浸透させ、エンゲージメントを高めることへとつなげています。

 もちろん、目的は会社によって違うはずですし、優先順位が変わってきてもかまいません。会社のミッションを社員に浸透することが最優先であっても、徐々にそのフェーズが変わってきたと感じれば、社員のエンゲージメントへと目的をシフトしていってもよいでしょう。ただし、その目的をきちんとマネジメント側、そして部下側にも周知しておくことが重要です。そして、忘れてはいけないのは、1on1は「部下のための時間」であるということです。

●目的:何のために1on1を行うのか
  例1)会社の方針を社員に浸透させる
  例2)社員のエンゲージメントを高める
  例3)社員の経験サイクルをあげて成長を促す……など

 あなたの会社がオンライン1on1を導入するとしたら、その目的は何でしょう?

■Point3
ルールづくりは細部まで

 もう一つ大事なのがルールの設定です。これも、できれば細部まで決めておくと現場の人たちが安心できます。

 大原則は「1on1で話したことを他言しない」という守秘義務を徹底することです。人事であっても、基本的には話したことを毎回吸い上げることはNG。上司と部下の信頼関係を築くには時間がかかりますが、崩れるのは一瞬です。1on1は心理的な安心・安全が確保される場でなければ、部下は本心を話すことができません。部下が自由に話せなければ、1on1の効果は発揮できないのです。それを大前提としてルール決めをしていきますが、もちろん詳細は会社によって異なってかまいません。下記のようなことを留意していくとよいでしょう。

●ルール:1on1の運用ルール
大原則)守秘義務を守る
その他)・頻度、1回あたりの時間
    ・時間を過ぎたら延長するのか
    ・プライベートについて話してもいいか
    ・話を聞いている最中に上司はメモをとってもいいのか
    ・どのソフトやツールを使うのか
    ・オンラインの画面をオフにしてもいいか
    ・どちらからアポイントを設定するのか
    ・キャンセルとなった場合、どちらがリスケをするのか
    ・リスケをするなら期限はいつまでか
    ・部下の数が多い場合はどうするか……など