メンバーシップ型とジョブ型の違いをまとめ、そこにどんな発想の転換があるかを示したのが下の図だ。

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 メンバーシップ型の本質は「まず人がいる」ことだ。新卒で雇用契約した人がずっと会社に在籍し、異動しながら仕事をしていく。人がいることを固定的に考えてそこに仕事を割り振り、お金を払う。メンバーシップ型を前提に、ヒトに対して値付けをする仕組みが職能型人事制度であり、ペイ・フォー・パーソンとも言われる。

 これに対してジョブ型は人を流動的にとらえる。戦略があって必要な組織や仕事がデザインされていて、それを担う上で最適な人を経営資源として「調達」する。調達は内部からでも外部からでもよく、外部から調達する場合は人材市場に接続してそれぞれのジョブに値段を付けて、適正価格で「購入」する。

 メンバーシップ型は新卒採用時に調達活動をほぼ終え、固定的な人で構成されるコミュニティの中で仕事を割り振る。ジョブ型は、コミュニティはその時々で形を変えつつ、戦略からジョブを逆算的に定義し、必要な人を入れたり出したりしていく。つまり一番大きな違いは、器としての人事制度ではなく、人の出入りをどう考えているか、人的経営資源をどう調達するかという思想にある。

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本質は人の調達方法の違い

 ジョブ型の導入に当たっては、人の調達についての考え方を本当に変えるのかを決めなくてはいけない。そうした本質を理解したうえで、組織としての意思決定ができればジョブ型は有効に機能するはずだ。逆にいえば、それを理解せずにリモートワークのためにジョブ型を導入しても必ずしもうまくいかない可能性が高い。

 典型的な失敗パターンは2つある。

 1つは、懸命にジョブ型的な仕組みは作ったが、自社の人材調達の根本に踏み込まないため、一過性のイベントで終わってしまうパターン。日系企業でこれまでジョブディスクリプションを作ろうとした会社の多くがこれで失敗している。ジョブディスクリプション作成は労が多い。だからこそ「何をしたいのか」が明確でないといけないのだが、その理由付けにビジネス文脈での納得感がないと、人事部門の自己満足に終わってしまう。