医療データと非医療データ

コラムタイトルが「医療DATA」なので、はみ出し情報、はみ出し概念といえるかもしれないが、少し触れておこう。何が医療データであって、何が医療データではないのか、明確な線引きは難しく、医療データではなくとも医療研究に活用し得るデータは多々ある。先に述べた遺伝子情報や冷蔵庫の開け閉め情報などは元来、医療データではないだろうし、只今、行政サイドが進めているライフコース研究分野での小中学校における身体測定データや介護施設でのデータも「医療」のデータでは決してない。

また、当人が住む地域や貯金残高、買い物データから推察する食事の好みやサプリメント、スポーツジム通いといった健康趣向性は、健康寿命の影響因子を研究する上で補正しておきたいファクターである。それどころか、こうした生活様式と健康寿命との直接的関連性そのものにも皆が興味あるはずだ。これらは医療データではないが、未病・無病とも呼称される、病気ではない時期の情報が医療研究上、無用であるはずはない。医療研究に使えるデータはコラムタイトル「医療DATA」だけに留まらないのである。

おわりに

今回は医療データの分類を話題にしながら、裾野が広がり続ける医療データの現在地点について再確認を試みた。分類の仕方には一部の専門領域において国際規定が定まっているようなものもあるが、医療データについていえばまだ成熟期にはなく、自分にとって好都合かどうかで分類して良いだろう。

ところで、大谷選手の二刀流についての是非論はプロアマ問わずよく耳にするのだが、否定派の人はどうにも「投手は最多勝」「打者はホームラン王」、あるいは生涯通算しての200勝、2000本のヒットといったような従来型の評価指標に当てはめてみている様子がうかがえる。その指標で分類するならば、投打で活躍する大谷選手は“虻蜂とらず”で合格ラインに達せず、「もったいない」と映るようだ。

つまり投手か打者か一本化して欲しいのは、自身の分類ルールにとって好都合となるからだ、と言い換えることもできそうだ。しかしながら、今の熱狂ぶりは投手と打者の両方で活躍しているからこそではないだろうか。多くの人が二刀流の肯定派で、私もその一人だ。

これまで通りの分類基準でものを見ることは、認知が容易で好都合なことも多い。レセプトデータと電子カルテデータだけを使って成し得る医療研究もたくさんあるだろう。一方で、分類基準を時代の流れに合わせて修正してみることで、とても医療研究には使えそうになかった想定外のデータが、案外と医療上の問いや調査したい目的を果たすために使えるかもしれないという気づきを与えてくれる。固定観念を超えた先に熱狂がある。