聖カタリナ病院はどのような経緯で開設されたのでしょうか。

蝶名林氏 聖路加国際病院の連携病院として、2018年5月17日に開院しました。ご存知の通り、聖路加国際病院は急性期病院ですが、リハビリなどが必要ですぐに退院できない患者さんもいます。そうした患者さんの受け皿としての病院や病床の必要性を感じており、2014年の診療報酬改定で地域包括ケア病棟(病床)が新設される前から、新たなコンセプトの病院を作る計画がありました。折しも診療報酬改定での追い風もあり、2015年に着工。2018年の開院となったのです。

急性期医療や、CTやMRIなどの高額医療機器による検査は聖路加国際病院が担い、聖カタリナ病院は特にリハビリテーションに力を入れ、在宅復帰を目指す患者さんの受け皿となります。

ケアミックスではなく、全床が地域包括ケア病床であるからこそ在宅復帰へ向けて回復期医療として機能分担できることがあると考えています。聖路加国際病院とは医師や看護師・コメディカルなどの人的交流に加えて、当院への入院患者の紹介などもあり、いわば車の両輪の関係といえるでしょう。

こうした分院型の機能分担システムのトライアルは、今後の方向性を見極る狙いもあります。

病院の概要を教えてください。

蝶名林氏 病床数41床(4床室20床、個室21床)。病棟は3つで、4階病棟は主に軽症の患者さん、5階にはカテーテル管理などの医療処置が必要な患者さん、6階はおもに個室を求める患者さんに入院してもらっています。

2019年3月までの入院患者は200人を超え、この1年で徐々に病床はオープンしてきましたが、平均在院日数は現在約34日です。

入院患者の約6割は聖路加国際病院からの紹介ですが、地域のケアマネジャーからの紹介と外来受診後の直接入院も35%に上り、聖路加以外の近隣の急性期病院からの転院患者は、当初考えていたより多い比率です。入院患者は一般内科的な疾患が最も多く、そのほか大腿骨や脊椎骨々折後などのリハビリテーションが必要な患者、さらに呼吸器疾患と続きます。

蝶名林先生は非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)など、急性期の呼吸器疾患を専門とされてきましたが、地域包括ケア病床での回復期医療に携わったことで 医療に対するお考えが変わられたことはありましたか。

蝶名林氏 呼吸器不全は急性期から慢性期まで切れ目のない医療が必要です。それでも地域包括ケア病床の運営に携わるまでは、急性期医療により興味が向いていました。今でも、他の病院の医師や看護師の多くはそうした思いを持っている人が少なくありません。しかし、急性期病院でたくさんの検査や投薬をしても回復しない患者さんが、この病院で最小限の検査や投薬治療であってもリハビリテーションを充実させることで元気になり家に戻る患者さんを多く目の当たりにしたことで、高齢化社会での地域包括ケア病床の役割の大切さがわかりました。

厚労省が掲げる「在宅復帰」を実践しているわけですね。そうした地域での役割を果たすためになさっている工夫はどのようなことでしょうか。

蝶名林氏 大きく分けて①リハビリの充実、②地域のステークホルダーとの積極的な情報共有、③受け入れ患者さんの評価、の3つです。

現在、当院には理学療法士(PT)3人、作業療法士(OT)2人、言語療法士(ST)一人のリハビリスタッフがいます。もちろん患者さんの状態にもよりますが、これらのスタッフでできるだけのリハビリテーションを行います。

院内で多職種によるカンファレンスを行い、各患者さんに最適なリハビリテーションのメニューを作ります。多くは1日2単位(20分×2回)の通常のリハビリを実施。それに加えて集団リハビリ、土日はリハビリスタッフが作成したメニューを看護師が見守りながら行う“自主トレ”も実施します。さらに誤嚥をおこしやすい患者さんには、必要に応じて栄養部とSTによる嚥下指導も行うことで、在宅復帰できるまでに回復をサポートします。