メディカルAIセンターが、がん医療の進歩を加速する

遺伝子検査の技術的な進歩も重要な課題です。現在のパネル検査では、遺伝子検査を受けても、有効な抗がん剤が見つかる割合は2〜3割とされています。今後は、さきほど紹介した「全エクソンシークエンス」が重要になってくるのはもちろん、最近ではゲノムでたんぱく質をコードしていない領域が発がんに関与しているという研究が増えてきました。将来は「全ゲノムシークエンス」も必要になってくるでしょう。そして、この膨大な塩基配列の情報の解析にもAIが必要になってくるでしょう。

このほかAIには大腸内視鏡など画像診断を高精度にするための画像解析技術への貢献なども期待されます。そして、それを実現するためには、オールジャパンの取り組みが必要となります。例えば、日本メディカルAI学会というのが発足して、今年の1月に第1回の学術委員会が開かれました。600名くらいの定員規模だったのですけれども、そこに1,000人近い応募があって、メディカルAIに対する非常に大きい期待が感じられました。来年第2回がビッグサイトで行われる予定です。

また、目指すべきゴールに到達するためには、要素技術を進化させるだけでは不十分だと感じています。がんをよりよく診断するためにはどうしたらいいか、新しい抗がん剤を効率よく作るにはどうしたらいいか、目的によって最新の技術を融合させ開発の方向性をまとめ上げるような「メディカルAIセンター」が必要ではないかと考えています。