目指すはプレシジョン・メディシン

血液や組織など、患者さんからいたいた検体は疾病研究において重要な情報を含んでいる。そのため、これらのデータをバイオバンクに集積することが研究を進展させるためには不可欠です。

しかし、ただ検体のデータを蓄積するだけでは実際の役には立ちません。それらの検体元である患者さんの治療ヒストリーがわからなければ、有用な情報を導き出せないからです。


例えば同じ肺がんでも、患者さん一人一人で遺伝子型や遺伝子の変異の部位などが違います。同じ遺伝子背景を持っていたとしても治療の感受性が異ったり、治療中にそれが変化することもあります。

いつどんな病気になり、どのような薬を投与されたときに得られた検体かを経時的に追えることで初めて治療薬との関連などが推察でき、バイオバンクデータは価値あるものになるからです。生体試料には臨床情報が紐付いていることが不可欠なのです。


一方、現在のバイオバンクにおいては、検体に紐付いている臨床情報が圧倒的に不足しています。こうした臨床情報を補うために活用したいのが電子カルテの情報です。しかし、電子カルテはベンダーや医療機関ごとに病名などを表すコードなどが異なり、すべての医療機関の臨床情報をすぐ統合することができないのが現状です。


このため、我々はがん領域の疾病について、電子カルテの臨床情報と、遺伝子情報を含む検体情報を統合させるCyberOncologyシステムを作り、運用を始めています。

統合データベースの構築により、個々の患者さんに最適な「プレシジョン・メディスン」が可能になり、ひいては無駄な医療を省くことで医療費削減にもつながると考えています。