CyberOncologyで早期に有害事象を吸い上げられる

こうした臨床データとゲノム情報の統合を単独の施設だけでなく、全国的なネットワークとして使えるようにするため、現在「AMED臨床ゲノム情報統合データベース整備事業」として、7大学(京都大学、北海道大学、千葉大学、東京医科歯科大学、岡山大学、佐賀大学、慶應義塾大学)の臨床情報とゲノム情報の統合データベースの構築も進めています。

このプロジェクトのミッションは、①ゲノム情報共有データベース開発、②臨床情報共有データベース開発、③統合データベース開発。


臨床情報とゲノムデータの統合においては、セキュリティの高いネットワークや、臨床情報とゲノム情報の統合データベース、臨床医への診療支援プラットフォームの構築が必要です。そこで問題になるのが、ほとんどの医療機関で導入されている電子カルテのデータは実は構造化されていないことです。

さらに病院によって電子カルテベンダーが異なり、電子カルテ情報のコードもベンダーごとに異なります。


さらに同一電子カルテベンダーでさえ施設ごとに構造が異なるため、それらの統合を難しくしています。結局、各病院のすべてのコードを付け直し、アルゴリズムを作り統合することにしました。2019年2月までにデータ送信の試行を行っている段階です。


データの統合の実際については、リアルワールドデータベースの構築が進んでいる当院の事例で紹介します。

当院で導入しているのが、Cyber Oncologyというソリューションです。

当院では原則として電子カルテに入力されたデータから、がん治療に関連するデータがCyber Oncologyに自動的にアップロードされ、臨床情報データベースとなります。


患者の基本情報や有害事象などは、共通の問診フォームが電子カルテ上に示され、そこに入力することで診療医による入力データの過不足が起こるのを防ぎます。

データの統合においてはセキュリティが最も重要なため、Cyber Oncologyのデータベースから臨床情報データベースにデータを移行する際には、個人が特定できない秘匿化IDとして管理します。

一方、クリニカルシークエンス検査によるゲノムデータは、臨床情報データベースとは別のゲノム情報データベースサーバーに秘匿化IDとして集積しています。


今後は、同様に各病院が集積した臨床情報データとゲノム情報データを、それぞれ京都大学内のセキュリティエリアにあるデータベースサーバに統合し、その情報を制限共有データベースとして活用する予定です。

この共有データベースからデータを検索する際は、キュレーターが研究に必要なデータを突合し、個人情報を保護したまま臨床情報とゲノム情報の統合データベースとして活用します。