心電図検査では、どのようなことがわかるのでしょうか。

山本 心電図検査は電気生理学的検査といわれており、一般に健康診断やかかりつけ医の日常診療でも行われていることが示すように、心臓の異常を広く捉える検査であり、特に不整脈を発見するためには必須といえます。一過性の危険な不整脈を発見するため、24時間、心電図を記録するホルター心電図検査なども行われています。

尚、電気生理学の分野では、一部の不整脈に対して、心臓内に進めたカテーテルの先端から高周波電流を流し、不整脈の原因となる異常な電気興奮の発生あるいは通過個所を焼き切るカテ―テルアブレーションが開発され、すでに広く行われるようになりました。

心電図波形の変化は心臓の形態や機能異常を発見するきっかけとなることが多いですが、心臓の形態や機能異常は心電図検査に反映されないこともあるため、心臓超音波検査と併せて行い、お互いの弱点を補完し合って診断に役立てています。

心臓病の検査で、CT、MRI、心筋シンチグラフィーはどのような役割を担っていますか。

山本 CT、MRIの検査では、冠動脈や心臓の筋肉(心筋)の形態や機能の異常のほか、心筋性状の変化などを調べます。また、心臓周囲の臓器(大動脈など)についてもチェックできます。いずれの検査も造影剤を使うことにより、心筋の血流の状態や障害などを詳しく調べることができます。

拡張型心筋症などの心筋症の場合、心筋の性状を確認するため、心筋細胞の一部を採取して病理学的に調べる心筋生検(バイオプシー)を行うのが原則ですが、最近ではMRIやCTの進歩により、心筋の状態について非侵襲的に調べられるようになりつつあります。

MRIは心臓超音波検査と同様に放射線被ばくの心配もなく、コンピュータで画像処理を行うことで、より詳しい情報が得られます。しかし、MRIは我が国では歴史的に主に脳卒中など神経疾患や整形外科的疾患の診断に用いられており、また心臓病の場合は検査時間が長めになることもあり、なかなか検査件数を増やすことが難しいのが実情です。

心筋シンチグラフィーは、狭心症や心筋梗塞など心臓に栄養を与える冠動脈が狭くなったり詰まったりしたとき、心筋細胞にどの程度ダメージがあるかを相対的に調べる検査です。診断薬として放射性物質を用いることもあって、やはり検査できる医療機関は限られます。

疾患によって適切な
検査や治療を選択

代表的な心臓病について、どのような流れで検査が行われるのか、具体的に教えてください。まず、急性心筋梗塞が疑われる場合はいかがでしょうか。

山本 「急に胸がひどく痛くなった」「胸が締め付けられるような感じがする」などと訴えて救急車で搬送され、心電図、血液検査、心臓超音波検査で急性心筋梗塞が疑われた場合、先述のIVUSを含む心臓カテーテル検査、あるいは検査データなど状態によってはCT検査がカテーテル検査前に行われます。

心臓カテーテル検査は、足のつけ根(鼠けい部)や腕、手首などの動脈から挿入した細いカテーテルを心臓まで進め、造影剤を注入して3本ある冠動脈のどこが狭くなっているか、詰まっているかを確認する検査です。

急性心筋梗塞の場合、1分1秒の治療の遅れが生死を分けるため、こうした病変が見つかった場合、ただちにPCIを行って狭くなったり詰まったりしている血管を拡げ、ステントを留置するなどして血行の回復を図ります。

冠動脈が3本とも高度な動脈硬化病変を有しているいわゆる「3枝病変」、あるいは加齢等により血管が石灰化して硬くなりカテーテルの挿入が難しい場合は、バイパス手術や特殊なカテーテル治療が行われることもあります。

第1回終わり(第2回に続く)