厚生労働省保険局 局長 唐澤剛氏
厚生労働省保険局 局長 唐澤剛氏

■基調講演①
「少子高齢化と予防・健康づくりの推進そして地域包括ケアシステムの構築」
厚生労働省保険局 局長 唐澤剛氏

急速に進む少子高齢社会に必要なのは、下記の3点である。

1. 予防・健康づくりの推進による健康寿命の延伸と医療費適正化
2. 医療提供体制の改革と地域包括ケアシステムの構築
3. 医療・介護分野におけるICTの活用

少子高齢社会において持続可能な医療保険制度を構築するため、国は国民健康保険法等を一部改正した。改正点の1つ目は、平成30年度から都道府県が国保の保険者になることだ。また、国保の安定化のために、平成26年度に実施した低所得者向けの保険料軽減措置の拡充(約500億円)に加え、毎年3400億円の財政支援の拡充等を行い、抜本的な財政基盤の強化を図る。併せて、医療費適正化計画の見直しも盛り込んでおり、次の3点がポイントである。

1. 国・都道府県の医療費適正化計画の実効性の強化
医療費目標の設定や行動目標の見直し、要因分析・対策実施を強化、さらに策定プロセスを見直す。

2. 保険者、個人へのインセンティブの強化
後期高齢者支援金の加算・減算制度を見直し、国保における保険者努力支援制度を創設するほか、保険者による健康ポイントの導入等を促進する。

3. 保険者によるデータヘルスの推進
平成26年度中に全保険組合等でデータヘルス計画を作成し、平成27年度から計画に基づき事業を実施する。レセプト、健診データを活用し、糖尿病重症化予防事業や後発医薬品の使用促進等の取り組みを推進する。

医療費適正化計画は、平成20~24年度の第1期、平成25~29年度の第2期、平成30~35年度の第3期に分けて策定され、都道府県が国保の財政運営責任を負うのは第3期からだが、可能な限り前倒しし、第3期の医療費適正化計画を実施するのが望ましい。これらに取り組む都道府県に対しては、研修や人材の派遣等、国も取り組みを支援していく。

個人や保険者による予防・健康づくりを推進するためには、データを活用した予防・健康づくりの充実を図ること、予防・健康づくりのインセンティブを強化すること、栄養指導などを充実することが求められる。その取り組みの中心となるのがデータヘルスだが、国は保険者のデータヘルス計画の策定・事業実施をバックアップする基盤整備も進めている。

地域包括ケアとは、地域で高齢者が医療・介護、介護予防、住まいおよび自立した日常生活の支援が包括的に確保されている状態だが、すぐにこの水準を実現するのは難しく、医療と介護を切れ目なく提供する体制を作ることが第一歩だ。特に、急性期の治療で入院後の受け入れ先を患者家族が探さなければならないため、地域包括ケアの体制整備が急務となっている。

さらに、地域包括ケアを実施するためには、人のつながりがある場所で1人ひとりに寄り添うことが大切で、個人のニーズに合わせた対応が求められる。そのためには、サービス提供者同士の間に、顔の見える関係を築いておくことが重要だ。