高齢者だけなく、中年層にも
黄斑疾患の異常が増加

黄斑疾患は高齢者だけの疾患ではないことがわかりました。五味先生のお話の中に出てきた黄斑浮腫や黄斑上膜、黄斑円孔なども、若年層が発症しやすいのでしょうか。

五味 黄斑上膜や黄斑円孔、それから動脈硬化などで眼底出血を起こすとこれに付随して生じる黄斑浮腫などは、50~60代くらいの方にみられます。黄斑上膜とは、文字通り黄斑の上に膜が張ってくる病気で、誰にでも生じる可能性があります。目の中には硝子体というゼリー状の物質で満たされていますが、中高年になると硝子体が変化してきて、黄斑の前に膜を残します。膜が増殖してくると黄斑に皺ができて歪みが強くなります。硝子体が黄斑の中心を引っ張って穴があくのが黄斑円孔です。

黄斑浮腫は黄斑そのものが腫れる状態で、高血圧や動脈硬化、糖尿病といった全身疾患に伴って網膜の血管に異常が出て発症します。糖尿病の認識がなく、黄斑浮腫が出てきて初めて糖尿病とわかることがあります。頻度としては、網膜静脈閉塞症症に伴ってみられることが多いようです。

その他、黄斑の下に水がたまる「中心性漿液性脈絡網膜症」は、30代以降の男性に多く発症します。ストレスと喫煙がその要因とされ、喫煙を止めたら改善したという報告もあります。初期には視力は比較的良いのですが、適切に治療されなければ黄斑が傷んでしまい、視力が低下します。  先ほど欧米人とアジア人では、加齢黄斑変性の病態が異なると述べましたが、その違いのベースにあるのは、この中心性漿液性脈絡網膜症とする説もあるぐらいで、アジア人男性に多い疾患です。

何らかの自覚症状があり、自ら受診する人は多いのでしょうか。

五味 結構少ないです。最近は、黄斑疾患啓発の目的で視野に歪みがないかを問う広告などが増えて、そこで気づいて受診する人がいるものの、気づかれず放置されている場合も少なくありません。特に片眼の場合、少々見えにくくても老眼だと思い込んでいたと言われる方もいて、これほど視力が悪化するまで気づいていなかったのかと驚かされる場合もあります。運転免許更新時や眼鏡を作り直しに行った際の視力検査で異常を指摘された場合は、きちんと眼科を受診してもらいたいですね。

黄斑疾患は、受診すれば簡単に発見できますか。

五味 黄斑疾患は初期の段階では出血などがない限り発見は難しいこともありますが、OCT(Optical Coherence Tomography:光干渉断層計)によって、これまでは捉えられなかったわずかな構造の異常がわかるようになりました。

黄斑疾患は一般にあまり認知されていないように思いますが、OCTによって発見しやすくなったのでしょうか。

五味 はい。眼底写真は平面的なので、浮腫や剥離の区別がつきにくいことがあります。ところがOCTによって、網膜の奥行き方向の微妙な構造の差異が見えるようになり、診断がつきやすくなりました。

黄斑疾患の治療ができるようになったのがここ10年でのことで、OCTの登場とリンクしています。