進化するOCT
血流速度や血管の形態異常も解析

次に、OCTの画像を読む側のスキルですが、これは高いハードルでしょうか。

五味 明らかな異常があるかないかは、ある程度の経験を積めばわかります。ただし、異常な所見をきちんと診断するには、病気の知識と読影の豊富な経験を持った眼科医であることが必要となります。検診の場合、適切な読影医が身近にいなければ、遠隔読影などの取り組みも必要になると思います。

そもそも、画像が病巣部を含めて撮影できていないと病気を見落とすことになってしまうので、撮影者側への教育も大切です。

一般的な開業医の下でもOCTは受けられますか。

五味 今や眼科開業医の多くがOCTを導入しています。ただし機器によっては、測定時間や画像の解像度、画像表示の仕方などに若干の違いがあります。

眼底の病気、特に黄斑疾患の早期発見、治療効果の評価、治療後の経過観察にはOCTが不可欠といってもいいでしょう。黄斑疾患は経過を長くみることが必要ですから、経過観察を開業医で行ってもらうことはよくあります。

今後、OCTは進化しますか。

五味 進化します。今後は、個々の細胞レベルの形態異常や機能の異常も検出できるようになると思います。今でも、OCTで血管だけを抜き出して観察することができるようになってきていますので、さらに精度が上がれば、現在行われている眼底造影検査という、造影剤を流して血管の異常をみるような検査にとってかわるようになるかもしれません。

眼底造影検査は、糖尿病網膜症や加齢黄斑変性といった疾患の診断や病状の把握のために非常に重要な検査ですが、検査の間まぶしい光が入りますし、造影剤で気分不良やアレルギーを生じる方もいるので、楽な検査とはいえません。これが非侵襲的に行うことができれば、患者さんも楽になると思います。また、OCTで血流そのものを見るような試みもなされています。

眼底以外の疾患にも、OCTは有用でしょうか。

五味 今は前眼部OCTといって、角膜や虹彩など、眼球の前の方の組織の観察もできるようになっています。OCTが応用される疾患は、今後ますます広がると思います。

加齢黄斑変性といえば、再生医療が話題になっています。最後に、黄斑疾患において再生医療やそれ以外の治療についてトピックがありましたら、お聞かせください。

五味 ご存知のように、加齢黄斑変性は、iPS細胞技術を人体に応用した最初の疾患です。網膜色素上皮細胞という細胞を再生しましたが、この細胞は加齢黄斑変性だけでなく、他の眼底の疾患でも障害される場合がありますから、適応疾患が広がっていくでしょう。今後はさらに網膜の細胞、網膜は神経細胞で形成されているのでよりハードルは上がりますが、網膜そのものを再生することができれば、視力を取り戻せる人も増えると思います。

目の表面にある角膜は、再生医療により適した臓器です。構造が比較的均一で、アプローチもしやすいため、これまでも角膜は移植手術が普及しています。角膜の層ごとの再生医療などは、実現されやすいと思います。

黄斑疾患については、今もさらなる薬剤の開発が進んでいますし、ゲノム情報をもとにその方に合った治療を選択する個別化医療なども研究が進んでいます。現行の治療にはまだまだ課題もありますので、さらなる研究の発展を期待したいと思います。

第2回終わり(2回連載)