フェムトセカンドレーザーによる白内障治療

そこで今回、東京慈恵会医科大学が導入したフェムトセカンドレーザーについてお聞きしたいと思います。

常岡 まず、名前の説明からすると、フェムトセカンドレーザーとは、フェムト秒(1000兆分の1)という超短時間でプラズマ爆発を起こし、熱を発生させずに空洞を形成させ、それを連結させることでミシン目のような切断面を形成させるレーザーです(図2参照)。眼科領域では角膜の手術などに導入されていましたが、2008年に欧州で初めてフェムトセカンドレーザーによる白内障手術が行われ、最近になって海外で普及してきました。
当院が導入したのはAMO(Abbott Medical Optics Inc.)が販売している「カタリスプリシジョンレーザー」という製品で、これはフェムトセカンドレーザーとOCT(Optical Coherence Tomography 光干渉断層撮影)が一体化したものです。

OCT (Optical Coherence Tomography)で目の光干渉断層像を調べ、そのデータを元にフェムトセカンドレーザーで患者さんの症状や挿入するレンズに適した前嚢切開(C.C.C.)を決め、実行する
東京慈恵会医科大学が導入したAMO(Abbott Medical Optics Inc.)のフェムトセカンドレーザー+OCT(Optical Coherence Tomography)

具体的な手術の流れを教えていただけますか。

常岡 患者さんに点眼麻酔をした後、OCTで患者さんの眼内を撮影します。このOCTで計測したデータを元に、前嚢の切開(C.C.C. : continuous curvicular capslotomy)をどのくらいの大きさにするか、核をどのように砕くか、眼内レンズを挿入するための切開創をどういう形にするか、そうしたことを決めていきます。その後、フェムトセカンドレーザーを照射し前嚢を丸く切開し、核を超音波で砕きます。

ここからは手作業なのですが別室に患者さんを移して砕いた核を吸引します。その後に眼内レンズを挿入して手術は終了です。時間にして20分くらいと、以前と時間は変わりませんが、手術の精度は上がっています。フェムトセカンドレーザーで白内障の手術をするようになってから、術者が術後の検査時にひとり微笑んでいる姿を目にするようになりました。きれいな手術ができたことに対する満足感があるのだと思います。