こういったデータを集め、将来的にはどういったアウトプットをお考えでしょうか。

宮本 今は循環器について調査している段階ですが、循環器疾患は脳卒中とリスクファクターを共有しているため、同様のことを脳卒中についても進めています。例えば心筋梗塞が死因になることはない反面、心筋梗塞を起こした人が脳梗塞を発症して要介護になることがあるため、これらの情報を統合していく。それこそが名称通り、循環器病統合情報センターとしての役割です。そして、センターで集めた情報は学会のガイドラインに活かしたり、国の施策のためのデータベースを構築することに大きな意味があると考えています。

新薬や治療法に活かされる可能性がありますね。

小川 その通りです。この活動の主体は日本循環器学会で、会員がデータを使って何かを調べたいときには、申請して使用できるようにしました。具体的なアウトプットは今年からですが、こういったものは一つの施設が独占してはいけません。みんなが使えるようにすることが私の信念です。

ところで、JROADは日本循環器学会が主導していますが、J-ASPECT(脳卒中急性期医療の地域格差の可視化と縮小に関する研究)は誰がされているのですか。

宮本 九州大学大学院 医学研究院 脳神経外科教授の飯原弘二先生です。J-ASPECTは飯原先生が国循の脳外科時代に、厚労省の科研費を使って私たちと共に立ち上げました。

小川 学会とは関わりなく、科研費だけで取り組んでいるのですか。

宮本 飯原先生が代表研究者の形で、日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本脳神経血管内治療学会とも連携しています。

小川 脳と心臓、この二つに取り組むことは極めて重要です。

J-ASPECTとJROADはフレームも異なるでしょうし、同じDPCで見ているのであれば、後からの解析が可能なのでしょうか。

宮本 実はDPCは一つです。脳の診断において、DPCのどこを見れば脳の病気の何がわかるのかを調査しています。つまりこれはノウハウです。同様に、循環器の領域でも例えば心不全では、あれとこれを合わせると心不全のここがわかるといったことに取り組んでいます。

小川 DPCは一つであり、同じDPCでできるということですね。

宮本 はい。私の下にいる統計解析室室長の西村邦彦先生が脳について調査していますから、脳と心臓を合わせて何かをやることになれば、同じ循環器病統合情報センターで取り組んでいるので当然できます。将来的な目標としては、ナショナルセンターとして様々な調査・研究を手がける中で、これらの情報を皆さんの合意の下で連携して統合し、さらに良いデータを出していきたいと考えています。

それぞれの組織に、それぞれのやり方があり、一概にまとめていくことは難しいのでしょうか。

宮本 例えば、JROADが当初から取り組んできたValidationという調査がありますが、その数値とDPCで集めた数字が相関することは検証できます。J-ASPECTも同じで、参加登録している数十施設に同様の調査をして検証しています。

ただJROADから比べると小規模で、エビデンスとして担保できるかが課題ですね。

小川 その通りです。脳卒中データバンクも同じで狭い。

宮本 ドクターが入れるとどうしても小さくなりますが、DPCを使っているのは全体を把握するためです。これに個別のレジストリーも集めたいと考えていますが、恐らく100%は難しいでしょう。

小川 だからこそDPCを使い、新しい治療や薬、機器の開発に活かしていくことが重要です。

第4回終わり(第5回に続く)