中外製薬は、独自に開発した『調査・副作用データベースツール』を使い、医療関係者に対して医薬品の安全性に関する情報提供を行っている。MRが収集した副作用情報などをデータベース化し、“必要なとき、必要な相手に、必要な情報を提供”する。このツールの導入に合わせて同社は、全国を36エリアに細分化し、各地域の特性に応じた医療提供体制の構築にも取り組んでいる。

連載2回の第2回は、調査・副作用データベースツールの概要と狙い、具体的な活用方法から今後の展開などについて、引き続き大箸氏、青木氏、竹本氏にお話を伺った。

患者特性に応じた情報を、その場で提供

調査・副作用データベースツールの概要を教えてください。

竹本 調査・副作用データベース(DB)ツールは、調査DBツールと副作用DBツールによって構成されます。調査DBツールに搭載されるデータは、製造販売後調査(PMS)の調査票により収集されたデータであり、ここから得られるのは患者特性に応じた適正使用情報です。

例えば、60代の女性患者へ製品Aの投与を考えている医師から副作用発現状況を尋ねられたとします。すると、全体集団と絞り込みを行った集団での副作用発現状況、患者背景情報、症例一覧などを瞬時に表示できます。

副作用DBツールには、中外製品の国内・市販後の全副作用データが収められ、このデータは自発報告やPMSの調査票等で収集したもので、毎日更新されています。ここからわかるのは、最新の副作用発現状況であり、データは現時点で約24万件蓄積されています。そのため、例えば製品Aを投与後に肝障害が発生した際などに、医師・薬剤師などから同様の報告はないかなどと尋ねられたケースでも直ちに答えることができます。具体的には、これまでに次のような事例が報告されています。

事例1:副作用DBツールを使った副作用マネジメントへの活用

経口抗がん剤を投与後に下痢が発現した際の対処法について、医師からMRに質問があった。これを受けてMRは添付文書と適正使用ガイドを紹介した上で、副作用DBツールを使い、同様の症状が起きた事例を検索した結果、止瀉薬の投与により症状が改善された事例を見つける。この事例を参考に、医師は止瀉薬を投与して下痢の副作用マネジメントを行い、経口抗がん剤を継続投与できた。

事例2:調査DBツールを使った患者特性に応じた安全性情報の提供

80代のリウマチ患者で結核既往があり、ステロイドを減量したいが活動性が高い。そこで次の打ち手を悩んでいる医師から、弊社のリウマチ薬投与について相談があった。これを受けたMRは、添付文書と適正使用ガイドなどを提示した上で、該当患者に近い集団を調査DBツールより検索した。検索結果を確認してもらった上で、医師とディスカッションし「今回の患者には、弊社薬剤の投与はお薦めできない」と伝えた。その結果、医師から、「なぜ投与しない方が良いのか、データで見せられたので納得感があった」と評価された。

事例3:副作用DBツールによる情報提供が他診療科連携へ

弊社のリウマチ薬投与患者で角膜に炎症があると、眼科医から問い合わせがあった。そこで添付文書、適正使用ガイド、使用成績調査結果などから眼障害について説明した上で、副作用DBツールで「角膜の炎症」について検索、詳細な経過を案内した。その眼科医はこれまで、副作用詳細調査や処方医への照会が面倒なため、対症療法のみを行っていたが、今回の情報提供により「考えが変わり、今後は処方医との連携を前向きに考える」と話してくれた。

このツールが浸透すれば、医療現場は大きく変化する気がします。

竹本 調査DBツール、副作用DBツールともに、MRが携帯するPC端末からアクセスできるため、現場ですぐに検索・対応できる点が高く評価されています。従来なら医師・薬剤師から情報提供を求められても、その場で即答できず、持ち帰ってデータベースの中を探して数日後に回答するケースが大半でした。これがその場で直ちに回答できるのは、医師・薬剤師、そして患者さんにとって大きなメリットとなります。