“苦手”の克服

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医療データ上の病名がどの程度、真実と一致していれば「使って良い」といえるかどうかについて明確な基準はなく、期待されるPPVやその他の指標の“相場観”については、研究を行う背景事情等で大きく異なってくる。例えばスクリーニング的な研究をする際に、Validation Studyが必須かといえばそんなこともない。

また、レセプト病名自体が仮に60%程度の残念なPPVであったとしても、例えば「診断の1カ月以内に放射線または化学療法を行っている」といった条件を加えることで、信ぴょう性を向上させるアプローチもしばしば用いられる。PPVが高いに越したことはないが、Validation Studyの実施には少なからぬ負担や実現可能性の課題も多いため、得られる結果を何に利用するのかによってValidation Study実施の是非等、その品質要求レベルにどのようにして応えるのかを考える必要がある。

とはいうものの、それでもなお実際の医療現場由来のデータを利用して、医薬品の承認申請等、重要な意思決定に使いたいという要求は日増しに高まるばかりである。何より、世界的にみれば、疾患レジストリや死亡情報データと患者さんのIDでつなげることが可能な環境の国もあり、こうした国ではValidation Studyの実施をどうするかというよりも、“正解”ともいえそうなデータ、ゴールドスタンダードそのものが当該医療データに含まれていたり、簡便な手続きだけでリンクが可能だったりする。

こうした国々と比して、日本の環境が国際競争の中で見劣ってはいけない。次世代医療基盤法はこうした環境の実現を後押しする制度といえよう。RWDから価値あるRWEの創出へ。私のチーズ嫌い克服はあまり見通しが良くはないが、RWDの方は苦手の克服が少しずつ見え始めてきている。